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No.4
by …魔界伯爵の優雅な何か… 2019-05-23 22:27:19
それを出せというのだから、さぞかし主人お気に入りの客なのだろう。取り出した缶を左手に、食器棚からティーポットとカップをふたつ取り出す。慣れた手つきで紅茶の準備を進める。
「今日のお客様は…人間…お口合うと良いのだけれど」
お湯をポットに注ぎ終わると、独特の匂いが微かだが漂ってくる。自分達魔界に住む者からすれば芳ばしいその匂いが、人間は好まない可能性も十二分に考えられる。それを危惧したが、自分がどうにか出来る問題でも無いし、正直口に合わなかったところで主人ががっかりするだけなので気にしない事にした。