梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
『…ふ、は!なんや坊、えらい可愛らしい顔しとるやんけ!嗚呼ー…こんな可愛らしい顔見せられたら自分、気張らなあかんわぁ。』(ぽふぽふ、と彼から止められないのをいいことにその柔らかな髪を触っていたものの、その頭髪の下に眠る彼の脳の柔軟さに感嘆し、小さく口笛を吹く。彼の中で輝く天性の才の中でも、自分はずば抜けて素直さという才能を評価している。多くを吸収し、学び、身につける上で必要不可欠であり、その才は人の心も惹きつける。現に自分は赤髪の男達と繋がりを持ち、彼の右腕である弟の武器を奪っていた為、追い出されることも危惧していたのだが…無邪気な子供のように自分へ向けられる曇りのない瞳、可愛らしい仕草に思わず笑みが出てしまう。『せや。でもそんな大掛かりなもんでもない。ここでヤマトが舐められんように『まだ余裕でっせ』ゆうて宣戦布告するくらいがせいぜいやろなぁ。騙すってのより揺さぶりかけるくらいか?…ただ、その揺さぶりがどっちに転ぶかは運任せや。そこだけ頭によう入れといてや、坊。』まだ十代であった彼にやったように、ぐりぐり、と軽く額を指でつくとやや真剣な顔付きに戻り簡単にそう説明する。本当は賭けなど不確定なことはしたくないのだが、何もせずここでヤマトが弱体化していると思われるとそれに感化された他のチームがこれを機にとヤマトに攻め入ることもあるだろう。無駄な消耗は避けたい…優しい彼にとって酷な選択を強いているのは分かっているものの、心を鬼にしてそう前置きし。
まずいことになった。こいつの口ぶりからすると最低でも、彼の住所とここに自分がいるという事実、傷の具合がバレていることになる。傷の具合がバレている事と先ほどこいつが訪ねてきた口上を合わせて考えると彼と自分の会話が抜き取られていた…盗聴か何かをされていたのだろう、気付かなかった自分に腹が立ち鋭く一つ舌打ちをする。「…お前のお相手なんざ朝飯前だから心配はいらないよ。」彼のように美しい剣技も、鍛え上げられた理知が織りなす戦略も見当たらぬ相手の皮膚の薄皮に苦無の鋒を潜り込ませ、ぷつ、と赤い血の小さな玉を2、3作りながら「武器を離して両手を出せ。…今回ここにきたのはお前一人か?」と声を低くすると、相手の力が緩んだ隙に銃を蹴飛ばし、両手の親指を結束バンドで固定する。一通り相手が武器を他に持っていないかチェックした後に彼へ…榊さんへ携帯電話でコールして。)
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