梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
『…ほか、せならあいつも喜びよるわ。』(彼の癖毛は持ち主の性格に似たのか柔らかく、優しい手触りで加護欲をくすぐられる。柔らかな日の光を彷彿とさせる笑みを浮かべる彼の変化は確かに存在した。優しさと親しさは似ているようで違うように、彼もまた違いが現れてきたのだ…それが、とても嬉しく感じる、きっとこの組みの大半の者はそうだろう。勿論我が弟も。彼の呼んだ弟の名前は他の者の名前と違う響きがあったことに気付くと嫉妬というより、少しの安堵を感じる。彼が再び微笑めたことへの。『ん、せやなぁ…今この状況なら下手に動かんほうがええやろ。こっちの手持ちの札が少なすぎる。それに人身売買もリスクがあるからそうポイポイとはせんはず…これは憶測やけど、坊を釣ろうと狙ってんねやったらもっと機を熟すまで待つんやなかろうか?例えばもっとデカイ競り場…そんなら自分の部下も配置しやすいやろし、坊も派手に暴れられへん…勿論、それまでに小出しに品出しはするやろうけど。』大蛇は抗争となると殆どの場合皆殺.しにしていて、情報が極端に少なく、部下や相手の動きも把握しきれていない。それ故にぶつかる時はこちらの武力が揃うのが望ましい。かといえこのまま放っておくのも危険。奴らの傘下組織が手がける盗品や臓器を扱う裏レートの競り場が何度か不定期に開かれていたが、最近パッタリと止んでおり、次あたりには大勢の客が集まることだろう。そんな関係のない他人が多くいる競り場のような会場ではきっと彼は…他人を傷つけることを許さず、他を守るために身を投げ出すことのできる勇気を持つ彼は、暴れられない…また、彼の志に従うこの組織も。『…いっそハッタリかましてみるか?』彼の微笑みを眺めながら考えていたものの、少しの沈黙ののちにふと思いつきの言葉を出してみて。
かかった、こいつはヤマトの者じゃない。まだ薬でぼやける意識を必死に引き上げ、コールしようとした彼の電話番号の映る携帯を仕舞う。心配をかけさせたくない。こいつを生け捕りにして更に情報を取れれば彼の役に立てる。そう思いつけば一つ深呼吸をした後に、苦無を相手の首筋へ当てがい脅しをかけるため、勢いよく玄関戸を引き対空姿勢から苦無を持った右手を振りかぶって。)
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