梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
…ありがとう。これがあれば負ける気がしないよ。
(此方が多くを言わなくても気持ちを汲み取って現状をしっかりと把握し考慮した上で応えをくれる彼。そんな彼から良く手入れされた苦無を差し出されれば、小さく目を見開くと同時に彼の如何なる時も自分の傍に居て守ってくれようとする強い気持ちが伝わってきて胸が熱くなり。彼にとっては大事な暗器の一部。それが2本無くなったところで彼の強さが変わるわけではないが、彼の分身を受け取るような気持ちで苦無を手に取ると緩く微笑みを浮かべて。その後、着替えなどの身支度を済ませ彼の2本の苦無もしっかりとコートの内側に収めると彼に見送られアジトへと。しかし自分が家を出た時、すぐ近くの木の上からフッと人影が消えたのは気付かずにいて。)
(ヤマトのアジト、特に何の問題なく到着し中へ入れば部下たちから温かく迎え入れられる。中には自分の犯した所業を許せなかったり不安を抱いたりしている者たちも居るだろう。それでも以前と変わらずに接してくれる部下たちに自分がどれほど恵まれた環境に居るのか実感して。『坊、よう来たな。…来てそうそう悪いけんど話、いいか?』部下たち間の縫っていつの間にか近くに来ていた茉莉花の声の真剣さに小さく頷くと部下たちに声を掛けてから別室へと移り。
『…ほんで大方は弟から聞いてんと思うけんど、闇カジノについてもう1つ分かったことがあるんよ。人身売買…その売買に使われてる人間ちゅうのが坊と関わりあるスラムの子らの可能性が高いってことや。』「……罠、だね。」茉莉花から聞いた情報にポツリと短く返す。スラムの人間が人身売買に使われるのは良くあること。身寄りのない人間は跡がつきにくく消えても誰も気付かないし咎めない。実際自分がスラムで暮らしていたときも何人もの人間が無理矢理闇市場に連れていかれ、時には自ら身を差し出すところを幾度も見てきた。だが今回の場合は別の意図がある。今まで大蛇の人身売買の情報が漏れることなど無かったのにこのタイミングで、しかもヤマトへその情報が流れるなど話がうますぎるのだ。見てみぬふりなどいくらでも出来る。だがそれを知ってしまった以上己が無視のできない人間なのだと大蛇は理解しているのだろう。自分をおびき寄せるために“人身売買”をしているのなら尚更放おっておけない。醜い欲望のせいで罪のない人間が苦しむ。自分が一番嫌なやり口。そして自分をおびき寄せるには最高の手段。『行くんやろ?』「…そりゃね。狙いがヤマトだったとしても俺だったとしても…俺のせいで苦しんでいる子たちがいるなら黙殺は出来ないよ。……これだけ大蛇の狙いが明確になってきているのなら梔へ向かわせる子たちは2人にしたほうがいいかもね…。」茉莉花に向かって当然のように微笑みを向けたあと、今家にいる彼のことが心配になれば顎に手をあて小さく呟きすぐに部下2人を彼の元へ向かわせるよう手配して。
その頃、自宅。彼の元へ大蛇の下っ端の影が。先の自分たちの会話は屋根裏に仕掛けられた盗聴器で聞かれていて、この下っ端が今の梔が手負いで一人ならば自分でも倒せるのではと独自の判断をして襲撃しようとしており。ただ真正面から向かって倒せる相手ではないと流石に分かっていて、不意打ちを狙おうと考えヤマトの部下を装っては玄関の前まで来てトントンとノックして『梔さーん、ボスに呼ばれて来ました。開けてください。』どうせ部下の声など全員把握しているわけないと安易な考えで地声で声を掛けては後ろ手に銃を隠し持ち彼が出てきたところを撃ち抜こうとニヤリと口角上げて。)
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