梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(襖の奥から聞こえてきた声は、ふんわりとした夢を含んだような柔らかなもので、つい自分の?が緩んでしまうのを感じる。可愛らしいお方だ、そう思ったと同時に襖が開かれ待ち望んだ彼の姿が現れる。いつものきちんとした端麗な姿も勿論素敵だが、常とはまた違うあどけなさと艶やかさを併せ持つ着流し姿に息を飲む。裾から覗くすらりとした足は細く美しいものの、鍛えられた筋肉がその足でどれほどの戦場を潜り抜けたのかを物語っている。寝起きだろうか?やや癖がついたふわりと柔らかな彼の頭髪は普段よりもふわふわと可愛らしく揺れている。人に弱味を見せない彼は今も十分疲れていたのだろうに顔を見せてくれた。そんな彼の姿に嬉しさと申し訳なさが同時に胸に湧く。「すみません、お休みでしたか。」しまった。彼の言葉でやはりお休み中であった、と確信が持てると焦ってしまった自分のミスに心の中で自己批判しながら頭を下げる。「…ヤマトへ現状確認だけしようかと…。」しまった。2回目の自己叱咤をする前に感じる彼の視線と声は優しいものの、その奥に隠されたモノは自分の声を小さくさせる。彼の可愛らしい笑顔が自分に向けられているというのに、それを直視出来ないのは辛く、気まずさを感じながら恐る恐るその笑顔を見る。嗚呼、やはり花咲くように可愛らしい。「……すみません。」口をついたのは謝罪。彼に心配をさせてしまった事もあるが、これ以上この視線に耐えられないという事もあり冷や汗をかきながら小声で謝って。)
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