梔 2019-05-10 21:27:49 |
通報 |
>>梔
(急用、と行って立ち去って行った相手の方角を暫し凝視したあと、逆方向のアジトへと足を向ける。急用とは一体何だろうか、気にはなるが彼にも抱えるものや事情があるだろう。元々あまり人を詮索しないできたが彼のこととなるとつい知りたくなってしまう。いけないな…と自戒しながら目元にそっと触れては今日はもう大人しく寝ようと。そしてその通り、アジトに着いた後は寝支度を手早く済ませて彼のことを気にかけつつも床について。
一方スラム、綺麗な中心街とかけ離れたそこは街灯もなく夜となれば真っ暗闇に近い。瓦礫と街で出たゴミ置きと化しているため鼻につく異臭が立ち込めており、瓦礫の中にはまだ使える銃器や戦闘具なんかも紛れている。その奥に居住区がありトタンや材木、レンガなどで作った小さな家が立ち並んでいて。そんな極貧の僻地で暮らす人々は一日の食料を確保するのに必死だ。衣食住の為ならどんなに手を汚しても構わない人間が殆ど。だから茉莉花が、流した“デマ”をより信憑性の高いものにするためにスラムの人間を買ってコマにすることは簡単だった。そのコマの中の一人の18になる青年は、茉莉花に『恐らく近い内梔が来るだろう』と言われていたため小屋で普段どおり生活しつつ外の様子を気にしていて。そしてその青年の妹が丁度外にあるトイレに行っており闇夜に慣れた目で数十メートル離れた場所にいる相手を見つける。妹はまだ5歳で事情は何も知らなかったが綺麗な格好をしている相手を見るやいなや警戒心も何もなくそちらに走っていき正面に来ると小さな両手で器を作って無言で相手の前に突き出し、無垢な瞳でまっすぐ相手を見つめ乞食をして。)
トピック検索 |