梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(後ろから抱きしめられると小さく目を開くも次に聞こえた彼らしくない掠れた声に胸がキリと痛み目を伏せる。彼の声や気遣い、その腕から彼の気持ちが伝わってきてどうしようもなく苦しくなり、逃げ出したい気持ちと受け止めたい気持ちが入り混じって。胸中で葛藤するうち、彼が離れて腕を解放されるもまだ腕は掴まれている感覚が残っていて、続く申し出に伏せていた目をゆっくり開き。ふーと深く息を吐くと彼に背を向けたまま静かに口を開き「……君の治療が先だからね。」と根負けしたように一言だけ告げることで同行を許すと彼の反応を待たずに今度こそ部屋の外へと足を向ける。実を言えばまだ彼と向き合う気持ちの整理は出来ていない。だが放っておくとこんな自分でも信じてくれる彼は傷などお構いなしに動き回ってしまいそうだったから。ならばまだ目のつく場所に置いて休ませてやるほうが安心できる。アジトはきっと優秀な部下たちが何とかしてくれるだろうと無責任に思いつつ階段を下っていき。
その頃、窓から無事に脱出した部下と茉莉花は中々降りてこない2人を気にかけつつ、部下は茉莉花の車に備え付けてあった通信機器から応援の要請を、茉莉花は部下の傷の応急処置に当たっていて。)
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