日ノ本に残花 〆

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梔  2019-05-10 21:27:49 
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  • No.49 by 榊 誠  2019-07-29 19:53:28 


>>梔

『クソッ、武器は全部取り上げろつっただろ!!』
(数秒の間に俊敏な彼の動きによって場の状況が変わる。赤髪の男は憤りを顕に唾を吐いて怒鳴るとすぐに梔と部下を消すよう命ずるも、榊の様子を見て攻撃態勢に入った部下達を止めて。『待て、折角のボスとの最期だ。ゆっくり見守ってやろうじゃないか。』と高みの見物でもするように含み笑いをして。
──胸の内側にある暗くて冷たい、冷寒とした水面にピチャンと一滴、彼の言葉が波紋を作る。『誠さん、…』と微かに震えた、それでもまっすぐに意志の通った凛とした声。自分はこの声を良く知っている。彼が言葉を発する度に温度のある水滴が水面に落ちて、波紋が広がり波打ちを大きくしていく。不快だった。自分を否定されたことが…いや違う、自分の復讐を邪魔する男に己の信念を語られたことがか…。彼と対峙するといつも頭痛に襲われグラグラと意志が揺らぐ。催眠の掛かった思考は彼の真摯な言葉も苛立ちを増幅させるだけで、彼が『邪魔者。』という認識をより濃くしていけば、真っ向に立つ彼を冷たく見据え腰の刀を抜いて「…取り戻す?俺は俺の意志で此処にいるんだよ。邪魔するなら俺が君を斬る。」と。彼を消せば楽になれる、刀を相手に向け温度のない声色を向けるも、微かにその剣先は震えていた。それは『榊誠』の微かな抵抗。抗おうとする意志。それにいち早く気づいたのは術師で、このまま梔と対峙し続ければ榊の催眠が解ける可能性が高いと踏み。ならば片は早くつけたほうが良い。術師は赤髪の男とアイコンタクトを取ると梔に聞こえぬよう耳打ちしてきて。『…彼より先にあっちの僕を。』と。それに小さく頷くと目の前の彼を見据え「…俺はもう君と話すことはないから、いいよね?」と微かな冷笑を浮かべた後、刀を彼に向かって…ではなく、ギリギリで剣先を変えて大きく足を踏み込むと彼を横切りその後ろで拳銃を構えている部下を貫こうとして。)

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