梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
『てめェ…ハッ、そうしてられんのも今のうちだ。そのお綺麗な顔が絶望に歪むのが楽しみだな。』
(不利な状況下でも揺るがぬ態度、まるで此方が圧倒させられている彼の振舞いに赤髪の男の神経はさらに逆撫でされ、頭の悪いチンピラごとく吠えて相手の顎を掴むと口角を上げて乱暴に突き放し。その後、2人を拘束したまま何も置かれていない空き部屋に連れてきては跪くよう命令し背後にはあの大男を立たせ。『さっさと膝をつけ。』大男は2人の背中をドンッと押して早く命令に従うようせっつき。
「…君たちのリーダーは客人を迎える準備をしてるって聞いたど。」連れられるまま梔たちのいる部屋の扉の前まで来ては、催眠術に長けた部下を訝しげに見る。術師の男は何食わぬ顔で肩を竦めて『榊さんにもその客人に会って貰うんだよ。…貴方自身のためにね。』俺自身?眉を寄せ疑問に思う間に開かれる扉、その動作はやけにゆっくりに感じられ部屋奥の様子が徐々に視界に入ってくる。そして拘束された2人の男、その内の一人を見た瞬間ズキンと激しい頭痛が再び襲い。彼は誰だったか、昨日も、夢の中でも自分に必死に何かを訴えかけてきた。何故あんなにも傷だらけなのか…。口布の上からでもその端正な顔立ちが腫れているのが分かり胸の奥がざわめいて。「……ッ、」刺すような痛みに額を押さえていると赤髪の男が彼と自分を遮るように間に立ってきて『その痛みの原因はアイツだ。アイツがいる限りアンタはその痛みに悩まされる。』「…でも、あの子は…俺の、」『邪魔者、だよね。』すっと耳横で囁いてきたのは術師の男。にっこりと微笑むその笑顔は胡散臭さが漂うのに惹きつけられるようにその口元を見て、術師の言葉に耳を傾けてしまい『アイツは榊さんの邪魔をしに来たんだよ。…大蛇に復讐したいんだろ?だったらアイツを排除しなきゃ。アイツが居なくなれば全て上手くいく。…だから殺ってもいいよね?』まるで言葉の糸が直接思考に入り込み絡みついてくる感覚に足元までもが浮つく。彼を大切に思う気持ちがどんどん黒く染め上げられ、彼の存在が想い人から己の復讐を妨げる障壁と成り代わっていき、彼を見る瞳が冷酷に染まっていき。「……いいよ。好きにして。」感情のない声で彼に関心を失ったように吐き捨てては、それを見た赤髪の男は歓喜に口元を震わせバッと梔と部下に振り返り両手を広げて『聞いたか?お前達はいらないそうだ。お前達もボスの念願は叶えたいだろ?だったら大人しく消えないとなァ?』と高笑いを零し、梔の隣で震える部下の頭を銃口で軽く叩いて恐怖を煽った後、薄く浮かべていた笑みを消してその銃口を梔に向けて。)
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