梔 2019-05-10 21:27:49 |
通報 |
>>榊
(普段ならばここで頭突きのひとつでもお見舞いしてやるのに、と眉間にしわを寄せつつ「すみませんね。威勢がいいのが多くて…しかし、突然人の組の頭攫ってった程じゃない。」相手の望んだであろう答えを告げるも、それは一言目のみ。続く二言目には嘲笑を交えて余裕げに眉を釣り上げてみせるが、内心は余裕なんてこれっぽっちもない。早く彼の…榊の無事な姿をこの目で確かめなければ気が気でない。もしあのきめ細かな首筋に一筋、いや、一点の赤でも見受けられるものなら、その時は。『ハッ、随分と俺たちが悪者みたいに言ってくれるなぁ…?忘れるなよ、榊誠が選んだのはお前達じゃなく俺達だったってことだけだ。そんなに大事なもんなら名前でも書いとくこったなぁ!…どうしたァ?反論してみろよ用無し君どもが!』そんなことを考えていると、赤い髪の男へ向ける己の視線が険しいものへ変わっていたことに気付けず、それに感化された赤髪の男がそう声を荒げつつ横っ面を叩く。2、3度それが続き口布の下で鼻と唇から血が出たが涼しい顔で「…終わりましたか?生憎、用無し君達は案外しぶといんで」と嘲笑って。
手がつけられることのなかった朝食を持った女性の次にその部屋を訪れたのは、催眠術の情報に長けた赤髪の男の部下。小さいノックの後に部屋に入ると、以前より暗く染まった彼の瞳を見てゾクリと鳥肌を立てる。彼の催眠状態は未だに不完全。なのにも関わらずこんな暗い瞳をするのは、復讐に取り憑かれているからだ。純粋で無垢な恨みの念がその暗い瞳の奥で渦巻いている事を確認すると、彼に催眠が完全にかかった時はどうなるのだろうか、と期待に胸を膨らませて彼の名を呼ぶ。『榊さん、おいで。リーダーが君のこと呼んでる。』そうして軽く手で彼を招いて。)
トピック検索 |