梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
『信念か…。』
(イチは茉莉花の問いに深く呟き視線を落とすと手を組んで過去に榊と話した会話を思い返す。その会話は榊がこの組の頭になってまだ間もなく、なぜ先代は遺言として自分にボスの座を任せたのか、はっきりとは理解できなかったときにイチに零した言葉。『「俺は先代に試されてるのかもしれない。全ての事情を知っている先代が俺にこの組を任せ…どう引っ張っていくのかを。…俺は今ではこの場所が大好きだよ。悔いもない。むしろ狭かった視野が広がってすっきりしてるくらい。ただやっぱりこの無念は断ち切れないから復讐じゃなく別の形で晴らそうと思う。折角先代がくれたこの立場を利用する手はないよね。俺はね、イチ。あの子(少女)のような子をこれ以上生まないために、手を血で染めない人達を巻き込む奴らがいるなら俺はこの組を、その脅威から…俺たちから遠ざけて守っていける存在にしたい。ただ俺の我欲のために仲間を傷つけることも絶対にしたくはないんだ。…って人殺しがなにを言っても戯言にしかならないけどね。」』と、常の微笑みを携えて…。イチは榊の言葉を兄弟に伝えると弟である梔に視線を向けて『…信念かは分からねぇけどよ、アイツは自分のために人が傷つくのを一番恐れてる。だから今回もし誠が復讐のために動いているならアイツの意志に反することだ。しかもお前を傷付けた。アイツの動向によっては更に組の被害が広がるだろ。それをアイツ自身が理解すればその催眠状態ってのを解くきっかけになる……、そう言うことだろ、茉莉花さんよ。』イチはチラリと視線を茉莉花に移しては『本当はさっきの話、誰にも言うなって釘刺されてんだぜ。』とぶっきらぼうに付け足し、再び梔にまっすぐな視線を向けて怪我をしていない右肩に手を置き『…悔しいが今の誠に言葉を届けられるのはお前だけだ。…アイツはお前を…ってこれは話しちゃ不味いか。兎に角よ、お前にばかり負担は掛けたくねぇが馬鹿なアイツをまだ見捨てないでいてくれるってならもう一肌脱いでくれねぇか?』と童顔と言われるその顔をくしゃりと歪ませ笑って。
───シン…、と赤髪の男が大蛇の噂を口にした瞬間、胸の奥底が底冷えするような憎悪が這いずり、周囲の空気を氷点下へ下げるような、冷たく鋭い視線で男を射抜く。…あーそうだ。少女が死んだのは紛争に巻き込まれた偶然ではないのだ。あれは事故ではない。殺戮だ。黒々とした感情は男達への疑いをも飲み込み、まんまと男が仕掛けた餌に食いついていることにも気づかない。差し出されたお茶も何の疑いもなく口にしては、突然訪れる睡魔に抗えずボトリと手から茶の入った湯呑が滑り落ちて。最近良く意識を失うな…とぼんやりする思考で思い、ズルッと赤髪の男とは逆側に体が傾いて。「……何か盛ったね。」『まさか、お仲間の榊さんにそんな酷い真似はしねぇよ。…お疲れだったんだろ?』と怪しく笑う男の声が遠くに聞こえ。“仲間”か、と薄らぐ意識の中、脳裏に浮かんだのは大事な人の…大事なはずの彼の姿。でも靄が掛かっていてその表情が見えない。ぐにゃりとその姿までもが歪むとともに意識も暗転していき。赤髪の男は榊が眠ったのを確認するとナイフを取り出しその首元に充てがうとそれを部下にカメラで取らせる。そして現像した写真を持たせて『連れてくるとき抵抗するようならこれを脅しに使え。』と不敵な笑みを浮かべナイフを手の中でくるりと弄んで。)
(/こんばんは、いえいえお返事頂けて嬉しいです!大蛇の噂に関しても何の問題もありませんし、展開によって都合がきく提案で助かります。そして今回前半ほぼセリフですみません…。やたら説明くさい台詞になりましたがもし不明な点などがありましたらなんなりとお申し付けください。また場面などもすっ飛ばして自由に展開しても構いません。いつもダラダラと長い駄文にお付き合い頂きありがとうございます。)
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