梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(アジトに戻ったヤマトの一同は忙しなく各々の責務に務めるもその空気は不穏が漂い、表面的ではないもののじとりとした重苦しさが蔓延っていて。無理もない、ここ最近、ヤマトでは内通者…件の部下の事件もあり、それに続いて頭である榊までもが裏切る真似をしたのだから。それでも不審感が高まる中、毅然と動く者達もいてその中の一人であるイチは救護室にて梔の本格的な治療を終えるところで。イチは包帯を綺麗に巻き終えると一度席を離れて隣接する別室に入り、掌サイズの長細い小さな箱を手に戻ってきて梔の前の丸椅子に座り『さっき言ってた効用の高い痛み止めだ。即効性もある。ただし効果が高いってことはそれだけ副作用もあるから、正直俺は使うのはおすすめしない。…でもお前の頼みだからな。使い時だけ注意してくれ。あと、今夜はちゃんと休む。わかったか?』と真剣な面持ちでまっすぐ目を捉えながら相手の手に注射針が入った箱を握らせつつ、強い口調で釘を刺す。その頃、茉莉花は情報収集に奔走しており、榊の不自然な振舞いに関して主に2つ、情報を得ていて。1つはスラムのオヤジから梔も聞いた話(>15)榊の妹分がマフィアの抗争に巻き込まれ死亡し、マフィアに対して恨みを抱いていたということ。そしてもう1つは榊を攫った赤髪の組織が薬品を用いた催眠術に長けているということ。これらの情報を紐付ければ憶測ではあるが榊の不自然な振舞いにも説明がつく。『…さて、可愛い弟くんはちゃんと休んどるとええけど。』すっかり暗くなった宵闇の中、日中に弟が榊に向けた言葉や姿を思い出してはフッと笑みを零して一人月に向かってぽつり呟き、ゆらりとアジトへの道に足を向けて。
一方、赤髪の男のアジト、案内された広場を見回しては本能的な居心地の悪さに眉を潜めて別室へ向かおうとする男達に「ちょっと待って。」と声を掛けて引き止め。「約束がまだだと思うんだけど。」『約束だァ?』「…惚けないでよ。俺が君たちについたら大蛇の情報を提供してくれるはずだよね。」と嘆息を混じえて男達に疑惑の目を向ける。自分がその約束のために大事な人を傷付け大罪を犯したことには自覚がないながら男達のこともまだ信用しきれておらず、先程から断片的に訪れる頭痛もあり声に苛立ちが含まれ。そんな榊の様子に赤髪の部下が『…催眠状態に掛かっていればもう少し従順になるはずですが…少し解けかけているのかもしれません。やはりあの梔とかいう右腕の言葉が影響しているのでしょうね。』と耳打ちしては次の指示を待って。)
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