梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(廃工場の扉が開かれるまで男たちは梔たちの気配に気付くことはなく、突入してきた梔たちに驚くもすぐに余裕の笑みを浮かべて。『おー、この場所が良く分かったな?流石ヤマトの優秀な部下ってところか。でも残念だったな。もう話は済んでんだよ。なァ、榊さんよ。』赤髪の男は馴れ馴れしく榊の肩に手を置くも、当の榊は嫌な顔一つしない。拘束も解かれ武器も返された今、隙を見て男達の意表を突き逃れることも可能だった。しかしその選択はせず、それどころか男達に気を許すように肩を並べており…。
梔たちの顔を見た瞬間、ピシリと針で刺されるような頭痛が襲い、己の置かれる状況に違和感を覚えるも、何処か意識は解離しておりすぐに違和感は闇に飲まれていく。見た目は外傷も無ければ視線が虚ろな訳でもない。男達に従わなければ…と植え付けられた催眠状態の中、しっかりと梔たちを捉えるその目と表情の中にいつもの微笑みはなく。『ほら、オマエから部下達に説明してやってくれよ。』嘲笑する赤髪の男の言葉に答えるように一歩前出ては梔達と対峙する形をとり、それはまるで男達を庇っているようにも見えて。「…梔、駆けつけてくれたのは良かったけど、この人の言うように話はもう済んでるんだ。…だから、もし周りに部隊を張らせているならすぐに撤退させてくれるかな。俺は一度詳しい話をつけるためにこの人達のアジトに同行するから君達ももう帰っていいよ。」と静かな声色で淡々と告げれば最後に小さく微笑む。その片手は腰に下げる刀に添えられており。微笑みはある、だが様子の違う榊に梔の隣にいた部下は戸惑いを隠せず『…ど、どういうことでしょう。…いかがしますか?』と焦燥に眉を寄せて小声で梔に耳打ちをして。赤髪の男はそんな事の成り行きを高みの見物でもするようにニヤニヤと見ていたが、このままヤマトの部下たちが大人しく撤退するだけでは面白くないと思い。どうせなら今催眠状態にある榊と部下達を対立させてその関係を揺るがす亀裂をいれたい。そう目論めば片手を上げて自分の部下の一人に背後から榊を攻撃する“フリ”をするよう命じ、自分自身も短剣を取り出す素振りをみせて。)
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