梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(薄っすらと浮上する意識、僅かな頭痛と倦怠感に小さく身を捩るも自由が効かない。すぐに縛られていることに気付き、どうやら武器も袖口に忍ばせている千本なども全て没収された様子に自力で拘束を解くのは難しそうだと理解して。薄暗い此処はアジトではないのか、随分錆びれた場所に2人の男。一人は先程自分を抱えた大男。体つきも勿論だが身丈がそれなりにある自分を抱えて二階から飛び降りて平然としていられるとは相当な体幹と屈強な身体の持ち主。もう一人の技量は未知数だがヤマトの部隊を振り切るだけの身のこなしは備わっているのだろう。そんな分析をしていると此方に気付いた大男が近づいてきて『やっとお目覚めか、気分はどうだァ?』「良くないって言ったら、この縄解いてくれるのかな?」『ア゛?エラく余裕だなァ、オマエ。』「まさか、これでも焦ってるよ。部下達にそれなりの迷惑は掛けてるわけだしね。」肩を竦めて答えつつ廃工場の天窓に目をやれば、日の傾きを見る。まだ夕暮れ前なところを見るとあれから数時間と言ったところか。部下達は…梔は無事だろうかと仲間たちの安否を気にかけながら、ゆらりと大男に視線を戻して「ねえ、君もこんなところでずっと見張りは退屈でしょ。…抵抗しないからさ、お互い納得のいくように話し合いで解決しないか君のボスに掛け合ってくれないかな?お酒でも飲みながらって。」なるべく大きな争いは避けたい。敵が実力者揃いなら尚更だ。それは相手グループも同じはず。話が通じる相手かどうかは現状を見ると微妙なところだが、今は出来るだけリスクを伴わない穏便な方法で済ませようと模索しては、場に似合わない優しい声色で語りかけると共にゆるとした微笑みを向けて。
一方廃墟近くの建物、揺すり起こしても目を覚まさない梔と他の仲間たちを近隣の安全な建物に移動させては、床に寝かせ毒物の混入や身体に異常がないか救護班が調べていて。他の部隊は梔がつけた発信機から榊の居所を割り出しているところ。それを横目に救護班として駆り出されていたイチは眠っている梔の頬をツンツンと指で突いていて。『コイツを眠らせる薬とか相当だよなぁ…。全然目ェ覚まさねぇし。てかやっぱ綺麗。…おーい、起きねぇとキスすっぞー。』と周りが緊張感漂わせる中、一人お気楽な調子で居て、キョロリと周囲の目が向いていないのを確認しては整った相手をジィと見つめ、そのマスクの下に隠される口元にゆっくりゆっくり顔を近づけていって。)
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