梔 2019-05-10 21:27:49 |
通報 |
>>梔
(ピリッと張り詰める空気、反して赤髪の男は此方の答えが分かっているか嘲笑を浮かべ早くしろとでも言うように人質の首を軽く締め上げさせ。人質の下っ端は呻き声を上げ恐怖で震え上がっているが、幹部の方は構うなと目で訴えてくる。銃口を向けられる梔も部下も充分反撃出来るだろうが、負傷した人質を庇いながらだと不利。此方の情報の脅しが効かないとなれば人質の人命を確実に救うには敵の要求の飲むのが是か。全く、己の命などヤマト頭領の肩書が無ければなんの価値もないだろうに…。敵が次に“ヤマト頭領”をダシに何を脅すかは何となしに予想できるが、ヤマトには己の身に余る優秀な部下が沢山いる。すぐ後ろにいる彼、梔もその一人。彼らがいれば自分が一度敵の手に落ちようと挽回してくれる、くらいには信頼している。その中に最悪自分はどうなってもいいと感傷が入り交じるも敵に向ける冷たい微笑みの下にひた隠して。「分かった。…ただしその子達を解放しなかった場合それなりの措置は取らせて貰うからね。」やや語気を強めて言うと、軽く振り返って梔と部下に安心させるように微笑みを向け、すぐ前に向き直っては自ら敵達の元へ歩み寄りその手を後手に拘束されて。赤髪の男は勝ち誇ったように鼻で笑うと人質の縄を解かせてその身を梔たちの方へ乱暴に投げ渡す。と、同時に催眠作用のある煙玉を部屋中央に投擲して『言っておくがテメェらが周囲に部隊を潜らせてんのは知ってんだ。チラとでも動いてみろ。コイツの首が飛ぶからな。』と立ち込める白煙の中、下劣な笑いを響かせて。男たちは中和薬でも事前に飲んでいたのだろう、意識も足元もしっかりしていると言うのに己の視界は急速に歪み体がゆらりと傾く。床に倒れる前に大柄の男に体を米俵のように抱えあげられ、あろうことかその男はそのまま二階の窓枠に足を引っ掛け飛び降りようとして。下には先刻までは無かった車が既に用意してあり、準備がいいんだな…と他人事のように思いつつ強い睡魔に抗えず意識を手放して。)
トピック検索 |