梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(廃墟に似合わない重い銃声が聞こえた、と思った矢先に彼の頬に赤い一筋の線が走る。なんて事を。彼の柔肌を傷付けるとは。めらりと燃え上がった怒りの炎は網膜へと飛び移り、暗器を投擲すべく太腿のホルスターに手をかけるも、毅然とした彼の部下へ対する牽制を目の端で捉えると自然とその行動を部下にならって止めて。彼への不意打ちと言い、下品な物言いと言い、怒りのボルテージがMAX値に到達しようかと言う時に彼が放った切り札。彼の動作はどれをとっても礼節に溢れ、彼を通して美しく彩られるものだが、今回の切り札を切った彼は格別だった。言葉一つで銃に勝る、その落ち着いた様子は不思議な魅力に目が眩みそうになるが、ここは仮にも戦場。言葉無き警告に従い、いつでも武器を出せるように体制を変えた途端、赤髪の男が口を開く。『…お前らが情報持ってるこたぁ十分分かったぜ?俺達は命綱を握られてらぁ…じゃあコッチも命綱を握らせてもらいたいわな?』そう言葉が発せられ、ジャコン、と3人の男のうち、縄を解いた男が人質の首に縄をかけ、いつでも締められるように構え、残りの2人が榊の両端にいる梔と部下に銃を構える。『テメェら、パターン2だ。…人質のこいつらは返してやるよ。ただし、代わりにお前が人質としてこっちに来い現ヤマト頭領、榊誠。』赤髪の男は男達に作戦の変更を告げるとにやり、と笑顔を浮かべて。駄目だ、コイツら半分ヤケを起こしている。死なば諸共とでも言いたいのか。収まっていた怒りがフツフツとまた混み上がってくる。我らが同胞を痛めつけ、今まさに目の前でさらなる害を加えようとし、この清廉潔白な人までもを汚い手段ばかり使うお前達に渡せだと?自然と視線に殺意が篭もり、すぐにでもその首を掻っ切りたい衝動にかられるが、首に縄をかけられた仲間を見ると歯ぎしりをせざるを得ず。)
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