梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(自分たち兄弟のせいで余計な心労や、気苦労をかけてしまったのは、彼の表情を見ると分かる。氷よりも鋭く、雹よりも冷たい瞳は美しくも冷酷に伏せられていたが、今は温かみが宿っている。…彼の瞳にその色が宿っていることが悪い事だとは理解できども少しだけ、残念だと思う。彼の瞳を通してからの感情はどう彩られるのかを見たいと思ってしまう自分が心臓の片隅にいるが、そんなことを軽く頭を振って追い出せば彼がすぐさま立てた計画に耳をすませる。流石だ。どんな状況であれ何が大切なのかを適切に判断し、今まで集めた情報の中から有力なものを集め、的確な道を見つける。頭脳と経験が無ければ到底成し得ることのできないその技量に何度も驚いてきたが、やはり今回も驚いてしまう。そんなことを思いながら彼を見つめていると、ふと交わる視線。真っ直ぐに捉えられた瞳は自分のものではなくなったかのように動かせなくなる。自分の好きな麗黒の瞳。彼が此方を覗く時、此方も彼を覗くことができる、彼の美しい鏡。それが緩められた時、自分が必要とされているのだと自惚れが脳味噌を甘く支配する。「勿論です。何処であれ、貴方のお側に。」きっと、優しい彼のことだから、今の間は自分が戦闘に出られるかを考えてくれたのだろう。大丈夫、二振りはちゃんと自分の背中に戻ってきてくれたし、何より彼が…榊さんが、自分のことを信じてくれている。それだけで自分は何時でも、何回でも戦える。彼の為に。
その後は矢のように時が過ぎ、準備も慌ただしく進んだ。落ち合う廃墟を目の前にして、身を潜めている各部隊と最終確認を通信機器で行いながらその時を待つ。落ち合う場所に向かうのは彼と自分、そして戦闘経験も豊富な彼の部下が一人、計三人であり、無意識にすぐ隣に並んだ二人を見て、あることを思い出す。それは、アジトを出るときに茉莉花に言われた忠告。『梔、よう気ィつけときや。相手グループが欲しいのは領地と金や。せやけど相手グループの頭さんが欲しがってんのは「坊」やで。』そう投げかけられた言葉を信じられるか少し迷いはあったが、腐っても兄弟。滅多に見せない兄の真面目な視線を見ると、直感でそれが嘘ではないと分かる。その言葉の詳しい意味は聞けなかったが、嫌な予感がモヤモヤと肺を満たしそうになり、半ば自分に言い聞かせるように、聞こえていないであろう彼の背中に「榊さんは、何があっても自分がお守りします。」と小さく宣誓して。)
(/いえ、榊さんの背後様の文はいつも、読みやすいながらも魅力溢れる文で読むたびに惹かれております!こちらの両親についてはガバガバ設定なのでお好きに使っていただければと思います!榊さんの両親やスラムについての情報をありがとうございます!私も毎度捻りのない展開にしてしまい申し訳ありません…!今回の一件が落ち着きましたら次は違った展開を考えるよう努力いたしますので…!こちらの文蹴り可です!)
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