梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(相手が短刀を止め、放った言葉に感じた違和感。目の前のオヤジが出した提案に怪しいと思いつつも、その怪しい確信がつけず「…二振りの短刀を探しに来た。あんたのとこに来たらしいが、知らないか?」と素直に答える。舐められるような視線には慣れていなかったが、それよりも、この場にいるオヤジが何故茉莉花の短刀を持っているのか、という疑問が強かった。勿論、確信がないうちに情報を晒すような真似はできない為、胸の奥底に仕舞っておくことしか出来ない…今の所は。『はは、何だ、そんな事か?確かに二振りセットの短刀なら榊から貰ったぞ。すぐ売り払ったがな!おかげでえらく儲けたぜ。』オヤジはその問を聞くと、待ってましたとばかりに残りの脳内の嘘をなぞる。流石はこの辺り一帯の重鎮というだけはあり、武術だけならず話術もお手の物。すらすらと読まれる嘘だと微塵にも思わせない。冷静にその話を聞いていた中で榊の名が出てくると思わず動揺して瞳を揺らす。そんな事は嘘だ、榊さんを信じる、という自分の中に、僅かに芽吹いた、冷静に物事を見ろ、と主張する忍としての自分、わずかな疑念。彼が自分の刀を売ったというのか?その可能性があるだけ、と捉えるべきだ。しかし、彼のあの優しい瞳を思い出すと、到底信じられない。信じたくない。それを無理矢理振り払うと「…あんたと榊さんの間柄は何だ?随分と親しいようだが…」少しの間、頭を冷まそうと本題と離れた、しかし気になっていたことを問い。)
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