梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
恐縮です。…自分、ですか?(彼の振り返った顔に微笑みが浮かんでいる、その春の陽だまりのような笑みが自分に向くというだけで舞い上がってしまう。だからこそ、この笑みの為なら雑用でも密偵でも何でもやれる、時折そんな考えが頭に浮かぶ。可愛らしい主君。野バラの花弁色のような淡い喜びが彼の表情、仕草を色付けるのは筆舌に尽くしがたい可憐さで目を離せない。そんな中、ふと伝わった指の震えは自分の行動のせいだろう。僅かにでも、彼が自分のことを好意的に感じてくれた結果の震えであればこれ以上ない喜びだ。「お任せください。…榊さんであれば、どんなお姿でも素敵だと思います。」少し強調された、二人という単語、繋いだ手から共有される暖かさ、控えめな視線と声に散りばめられた嬉しさを感じると思わず笑みが溢れる。頭として凛々しく振る舞い、現場で指揮を取るときはまさに戦神のような逞しさが内に秘める彼が、自分からの誘いにこんなにも喜んでくれるのだ、好きな相手からそんな反応が返ってきて喜ばない男がどこにいるのだろうか?そんな風に浮かれていたからだろう、柄にもなく目を微笑みで細めながらそんなことを口走っただけでは飽き足らず「…ですが、それを俺に見せてくださるということが何より嬉しいです。皆の知らない貴方を俺に見せてください。」と繋がったままの手を自分側へ引き寄せ、開いた片手を彼の背中へ回して。「…折角なら、自分も少し着替えてよろしいでしょうか。…誠さんの、隣に立つのなら相応の格好をしたく…。」そこでふと自分の格好について冷静に考えると、乾かしただけのセットもしていない髪、機能性重視のシャツとスラックス、と何ともお粗末。折角の彼との貴重な時間なのだ…そして、何かあった時の武器もこの格好では心許ない数しか仕込めない。そこで距離の近くなった彼に控えめに問うてみて。)
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