つきこ 2019-05-04 22:25:48 |
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(右頬が掌から落っこちる、その勢いで目が覚めた。緩んでいた口元とすぐ半開きになる目元を猫のようにぐしぐし拭い、再び頬杖をついて教科書片手に黒板に向かう先生の背中を見つめる。斜め前には文字がびっしり書かれたノート、目の前には真っ白い新品ノート。先生お得意の早口解説から逃げるかのように、分厚いガラスで仕切られた外へと視線を向けた。運動場に散らばる体操服。夢中で走り回る子達をゆらゆら追いかけるポニーテールが眩しくて、キュッと目を細めた。アスファルトの焼ける臭い、照り付ける太陽の匂い、運動場の強い照り返し。ガラス1枚先の夏に、あの子達はいる。あの眉を顰めた女の子は日焼けなんかを気にしているのかもしれない。黴臭いエアコンに煽られながら睡魔と戦う私よりよっぽど夏を感じてるよ、なんて独りごちながら、再び夢の世界へと旅立とうと瞼を閉じる。)
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