執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ニコル
__、( 言い淀んだ貴女の反応から、複雑な感情の機微を読み取れないほど鈍くはない。むしろ視覚を失った分その他の感覚は鋭敏で、文字通り人知を超えている。貴女が選択したのは優しい知らんぷり、ならば自身もそれに応えよう。優しさと狡さは紙一重、善人や人格者の皮を被ろうとも自身とてまた1匹の怪物。闇夜に生きる者が抱える病みの片鱗を、初対面の貴女に気取られてしまったのは誤算だった。賢い子ね、その呟きは胸中に秘めておこう。そう思考を纏めるのに要した時間は僅か1秒にも満たないほどで、不自然な間を空けてしまうことなく「 まあ、素敵!でもね、お礼だなんてとんでもないわ。私はあなたの楽しそうな姿が‘視えれば’満足よ 」トントン、包帯を指先で弾いて見せる。貴女の様な輝かしい女の子が、哀れな怪物の目に甘んじる必要などないのだと言外に告げながら、そっと手を差し出し「 でも、手は繋いでいてくれる?私に貴女をエスコートさせて欲しいの 」あくまでも今夜貴女を守るのは私、ある種幼稚な執着心を垣間見せつつも、声音は笑みは依然として聖母の如く穏やかなまま。もし貴女が手を取ってくれたなら、緩くこちらへ引くようにして廊下へ導きつつ「 勿論違うわ、あなたのお菓子を食べられるなんてとっても素敵な事だもの。…けれど、私なんかよりもっとずっと、あなたの贈り物を待ち望んでいる怪物はいない? 」自己評価の低さは怪物らしからぬ人間臭さを醸し出す。いつだって自分は2番手以下、それは弁えてきたつもりだ。そんな己と違い、隣に立つことすら憚られるほどの輝きを放つ貴女。潰れた単眼が微かに疼いたのは気の所為と片付け、ちろりと並び立つ貴女の横顔へ鼻先を向けて )
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