執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ギンハ
うん、うん__分かってるよ、ちゃんと(そっと擽る様に髪へ触れる尻尾の先端に片目を瞑り、忠告とも言える彼の言葉に今一度確りと頷く。"吾等は"と、噛み締める様にその一言を頭の中で復唱した。どんなに親切にしてくれようとも、彼らが己を家族の元から攫った身である事に間違いはないのだ。撫でる手の心地良さにも似た尻尾の感触に気が緩んでしまわぬ様にと一度ゆっくり瞬いた。無論、彼が伏せたままの事実については何も知らず、知ろうとすらしていない。言いつけを守り良い子に過ごしてさえいたら__そんな期待が無いと言えば嘘になる。ともあれ、新たな出会いを前に期待と緊張とでじわじわと体が温まり始める頃、不意に彼の指先が向けられると自然に其方へ注目した。円い目でただじっと見詰めた先、小さな光の粒が美しい花の形を成す様に「うわあ…!」と、抑えようもなかった感嘆の声を漏らすと「すごい、これ本物の花なんだ…すごいよ、ギンハ様!ありがとう、僕上手くやってみせるよ」、そう言って掌の中で確かに咲いているラナンキュラスの花弁を指でそっと撫でてやり)
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