執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ギンハ
__ありがとう、ギンハ様(少し回り道をして伝わって来る彼の答え、憎まれ口に悪意が無い事を察してかこくりと頷きながら返したのは感謝の言葉だった。情報を拾い集める事に夢中になっている内にすっかり意識の外へ追いやられていたものの、優雅に揺れる尻尾がちらりと視界の端を掠めればつい目で追い掛けてしまう。少し前まで掌の中にあった極上の手触りをほうっと思い返していたが、また新たな情報を与えようとする彼の意図に気付くとはっとして注意をその声へ戻した。吸血鬼はこの屋敷に2人居る__存在そのものが未だ信じ難いものであった筈の吸血鬼。会ってみたいと言う好奇心と手放しに安全だと喜べる存在では無いのだろうと言う不安とが、不思議な高揚感を齎していた。こんな気分になったのは初めてかも知れない。そう思えば思うほど駆け出してしまいそうな好奇心の手綱を今一度握り直し、「レディの扱いは心得ておけって、いつも言われてたんだ。僕にも出来るかな…頑張ってみるよ。女の吸血鬼さんに、僕がこう言ってるって伝えておいて__"お手をどうぞ"って」と、片手を差し出しながら微笑んでみせ)
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