執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ハイネ様
(/顏の歪な刺青、お次は特徴的な耳へと誘導され、自然と指先が震える。触れれば触れる程に、彼は人間とは酷く掛け離れていて、其の事が奥底へと押しやって鍵を掛けた筈の恐怖心を増大させるらしい。灰色の肌はまるで此方の肌の生暖かさが吸い取るかの様な。呻き声が漏れ、心拍数が自然と早まって、可笑しくなってきた所で彼の手を力任せに振り払う…様な野蛮な動作はせず、咄嗟に握手をして「有難う。人間では無い事迄は察しが着いたのだけれど、その手の知識には疎くてね」早口で種族の推測をした事を誤魔化し。薬草まで操れる軽やかな手捌きには流石の僕も唸って。彼の名が此処でやっと判明し、ハイネ、ハイネ、ハイネと三度だけ、彼に気付かれぬ様にそっぽを向き、呪文の如く口を開閉。忘却を防ぐ為だ。反復する行為に寄り、忘却曲線を外れ、記憶が定着するらしい。繰り返した反動で、同名の作家が歌の本とかいう題名の文芸で有名だなと思い出し。彼の為に屈託のない笑みを送り「宜しく、ハイネ」と会釈。彼は僕が一方的に依存しても、身体的にも精神的にも壊れ無さそうな上玉らしい……人間では無いのだから尚更だろう。昨日迄の単調な生活と比較すれば、彼様な怪物と対話するのも又一興。燻る依存欲を押し込め、愚問をした事に申し訳無さを覚えて俯き「単刀直入に聞こう。僕を獲物と呼んだけれど、僕を獲物だと見なすのはこの館で君だけなのか、そうで無いのか」数分前から下の階で僕と彼の物では無い音声が微かに聞いて取れる。未知の生物の声。確信は持てないが、怪物と人間が共存している可能性は極めて低いと推察し。彼等が"食物"として人間である獲物を扱うのならば非常に物騒だが、尋ねてみる価値はあると唾を飲み込み、怪物代表としての君らしい回答を待とう)
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