執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>テオ
(もし不在だったのなら。無闇に歩き回らず、彼の帰りを此処で待つ事にしよう。迷惑を掛けてしまうかもしれないが、此処から自室に無事、誰にも見付からず迷わず行ける自信なんてこれっぽっちも無いのだから。そんな心配はどうやら杞憂に終わったようで。重厚な扉に阻まれてさえ響く、物音。家具らしい物がほとんど見当たらなかった室内。「テオっ……?!」咄嗟に悲鳴のような声が漏れ出てしまった。彼の身に何かあったのだろうか。一歩前に踏み込んだ所で、巨大な扉が迫ってくれば一歩、二歩と下がりつつ不安から瞳を揺らし。そこから現れたのは、紛れもない彼の姿。夜空に浮かぶ満月のような金の瞳と視線を交わらせ、伸びてきた手を避けるはずもなく、自ら進んで差し出すように歩み寄り。「勿論、本物だよ。偽物に見える?」もしや自分と同じく相手も寝惚けているのだろうか。眠たげな瞳が普段よりも増してとろん、とした眼差しに感じる。姿を確認出来た安堵も合わさり、可笑しそうにクスクスと笑いながら言葉を返すが、「っ……え、変なテオ。どうしたの、何か……いつもと違う。風邪、じゃないよね?それにさっき大きな音がしたけど、何かあったの?」次いで平常よりもはっきりと表情が緩んだ様にドキリ、と鼓動が早まり。驚きから戸惑ったように目を大きく丸くすれば、頬に触れる相手の手の甲を包むように、自分も片手を伸ばし。触れあう体温は以前と変わらず冷たい氷のよう。それに先程の物音は、と心配が勝り。突然の訪問に対する謝りよりも早く、次々と頭に浮かぶ疑問を、相手の顔を下から覗き込みつつ投げ掛けていて)
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