執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>テオ
(柔らかな綿の詰まった枕に、肌触りの良い真っ白なシーツと、スプリングの調子は些か悪いものの、程好い弾力のマットレス。日光と運動不足を除けば、明かりを消した室内は睡眠に最適な静かな夜の世界。しかしベットに横になり瞳を閉じても直ぐに寝付けないのは、最近姿を見ていない彼の存在が起因しているからか。今、彼はどうしているだろう。「会いたいなぁ……」無性にそんな気持ちに駆られるが、そう都合良く伝言を頼める使い魔が今訪れてくれる訳も無く。ぽつりと呟いては、叶わないもどかしさから右に左にゴロン、ゴロンと落ち着き無く寝返りを打ち、今一度目蓋を落とす。やがて漸くプツリと意識が暗転し、夢も見ない眠りが訪れ。それから暫くして自然と覚醒した時。目の前には白い天井──では無く、自分の背丈よりも倍の長さの扉が広がっていた。忘れもしない、彼の体に合わせて作られた特別製の扉の前に今、自分は立っていた。「えっ……?」夢なのかと、扉にゆっくりと手を伸ばせばひんやりと冷たい硬質な感触。これではまるで夢遊病。深層心理に潜む、無意識に求める強い力によって舵を取られた体が勝手にさ迷い、辿り着いてしまったとでも言うのだろうか。知らない内にもし誰かに見つかっていたら。恐ろしい未来を想像しては、ぶわりと一気に汗が背中から吹き出す。しかし自分は生きている。奇跡でも起こらなければ一人では達成が難しかったことを、無事叶えられたと前向きに捉えよう。思考を切り替え、一度深く息を吐き出し。右手の人差し指を丸めゴン、ゴン、と人の手で開くことは不可能な重さと厚みのある扉をノックする。扉を通じてその振動は、室内へと微かでも伝わるだろうか。「えぇと……テオ、居る?レベッカだよ。その、……会いたくなって来ちゃった、みたい」扉と壁の僅かな隙間に顔を寄せ、緊張と不安から歯切れの悪い、上擦る声で言葉を中に届けようと発し。だがあまり大きな声では、第三者に発見されてしまうやもしれない。心拍数を増す心臓は例え数秒の間だとしても沈黙に耐えきれず、急かすように今一度ノックを繰り返し「もし居たら此処、開けて欲しいなぁ……なんて、」言葉尻が濁ったのは、ふと過った不在の可能性に思い至ったからで。自室より外で睡眠を取ることが多いと話していたはず。ましてや今回は約束も何も無い、突然の訪問なのだ。深く眠るつもりで着替えた、薄桃色で彩られたワンピースのナイトウェアに身を包んだ姿のまま。一先ずは返事への応答がある事を願いながら、扉を真っ直ぐ見詰め)
(/此方こそまた主様や皆様との物語を紡げてとても嬉しいです!ありがとうございます…!簡潔に纏められず申し訳ありませんが、このような形で宜しければ、改めてお相手の程、宜しくお願い致します…!/蹴可)
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