執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ギンハ
(そわそわと落ち着きなく部屋の中を右往左往。この邸で過ごしてからは誰かを待つ、という事が習慣化してしまった。早く来ないか、そんな思いから遂には扉前に張り付くようにスタンバイしてしまった。だからこそ小さく響いたノック音を聞き逃すはずもなく、然程の差もなく扉を開け、目の前に広がる神々しくも麗しい彼へと飛びつく様に抱きつき胸元へ顔を埋めようか。それが叶わなくとも、近付いた距離で、いつも彼が纏う芳しい香りに紛れて、気分を高揚させるような独特な香も混じっていることに気付く。顔をあげ、よくよく目を凝らしてみれば、白磁の肌は薄っすらと紅を差したように色付いていた。「ギンハ様っ!会いたかった!今日はお酒を飲んできたの?」先ずは素直に会えたことを喜び、肌の赤みと彼の言葉から推測できた事柄を述べ。ちらり、と彼の背後を覗くと晩酌一式を恭しく抱えている子狐たちの姿が窺える。ひょっとして彼は此処で晩酌をするつもりなのか。ぱぁ、と光が差したように瞳を輝かせると「うわー!僕、初めて見るやっ。ねぇねぇ、お酒飲んでるところ描いてもいい?ぜーったいギンハ様、似合うものっ」描いたことのない未知なる道具たち。更には自身にはない大人の魅力を多分に含むであろうその場面は絵にして宝物にしたい。以前に話した彼への御礼にもなるだろうか。期待を込め一心に彼だけを見詰め)
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