執事長 2019-05-03 19:58:05 |
通報 |
……は、はい (戸を隔ててくぐもって聞こえたそれは、歓待、礼儀という単語。物騒ながら扉の向こうの人物は不審者と思っていた自分にとって、この文字達は少し違和感を抱かせていた。この人は少なからず、作戦でもない限りは敵意はないのかも知れない。何故それで納得してしまうのか、それはこの自分の置かれた状況が何か心当たりもないせいだろう。圧倒的な情報不足において、この発言を信じる他なかった。正体がなんであれ、従順にして損することは少ない。「……喰ろう?」自分を?何故?この一言だけで聞きたいことなど山ほどあったが、もしそれがかの人物の気に触ったら?呟いた自分の声は微かなものだったし、まだ扉に近づいていた訳ではない。聞こえてはいないだろうけれども……ここで戸を開けねば何もわからずじまいになる、ショルダーバッグの紐を握り締め、空いている片手でゆっくりと戸を開き「へ、あ。その、はじめまして……?」自分より幾らか背丈の高い男性、しかし見えたのは人では考えられぬもの。やけにリアルな狐耳に、艶のある尾。間抜けな声を晒せば慌てて手で口を抑え、何か言わねばと絞り出した言葉は場違いな挨拶で)
(/それで間違いございません。少し自分でも見直して、「あれ。おかしいなこれ……」となっていた部分ですので、あまり気にしないで頂ければ幸いです……)
トピック検索 |