執事長 2019-05-03 19:58:05 |
通報 |
>レナード
え。いや、まったく心当たりが、ないんだが…(でも、君にこうしてまた会えたのは嬉しい。荒い呼吸を整えるべく肩で息を吐きながら訪問者を見やる。突然の来訪に胸中を占める純粋な喜びと戸惑い。よもや、数刻前に自分が蝙蝠に向けて独り言として放った言葉が彼に聞き届けられたものだとは夢にも思わず。此方を睨め付ける眼差しを前に、困惑気味に視線を泳がせて。件の使い魔がこの場に居たなら、切欠の一つでも与えてくれたかもしれないが。この時ばかりは察しの悪さも手伝って、ようやく落ち着きを取り戻した声色は語らずともいい事実を馬鹿正直に口にする「欲しいもの、というか…レナードのことを考えてはいたけど」廊下で立ち話をするのも彼に申し訳がない。未だに寝具ぐらいしか家財がない部屋であっても、ソファ代わりに寝台に腰を据えて話をするぐらいは出来るだろう。半分は気遣い。残りの半分は用事を済ませば帰ってしまう、そう告げた彼を一秒でも長く引き留めたいだけの、ただの、私欲)……とりあえず、部屋に入らないか?何もないけど、話をするなら廊下よりいいだろ。
トピック検索 |