執事長 2019-05-03 19:58:05 |
通報 |
>ミリアム
( 先程から礼儀正しく恭しい態度を保ち続ける彼女が椅子に腰を下ろす様子を目を細めて眺めながら、己は部屋の壁に凭れ掛かるようにして背を当て習慣化された動作で腕を組むと、ミリアムと名乗った目の前の女は、今度は此方に名乗りを求めた。途端にジャックの脳内で矛盾が生じる。彼女が本当に自分を殺そうという心積りでいるならば、ジャック・ランドルフの名も当然認知している筈だろう。やはりそもそも此方の推測が誤っているのか、そこまで思考を巡らせたところで僅かに頭痛が響く寝惚けた頭を酷使するのは辞め、彼女に続いてその名を口にした。「俺はジャック。ミリアムってのは聞いた事ねェ名だな。」聞き慣れぬ響きに彼女の名を幾度か繰り返し唱え記憶を掘り起こそうと精進したが、どうにも過去にミリアムの名を持つ者と関わりを持った覚えはない。ここは屋敷の主か、少なくともそれに近しい立場に位置するであろう彼女の話に大人しく耳を傾けるのが賢明であろうと判断を下し、重い口を開き紡がれていく言葉に神経を注いだ。「……世界が違う?つーかアンタ、人間じゃあ──。」此処が所謂人間界とは異なった存在であると、あまりに突拍子のない説明に小首を傾げる。彼女は限りなく人間に似た身なりをしており、人外であると裏付ける決定的な証拠が先程の観察のみでは入手出来なかったが、微かに感じていた違和感は彼女が「怪物」であるからなのだろう。罰が悪そうに声量を落としたその様子から一連の説明が終了したのだと悟るなり、フンと鼻を鳴らし口角を吊り上げて、妙に物分りの良い反応を示し )
へえ、──面白ェじゃん。化物っつう事は全員人間とは違った性質でも持ってんだろ?あ゛ァでも、部屋から出るなってのは気に食わねェなあ。アンタには悪いけど守れる自信ねェわ。
トピック検索 |