執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ジャック
__有難う、お邪魔します(命、その単語には潰れた単眼が疼くような錯覚を覚える。まさかこの屋敷に攫われて来た意味を既知なのだろうか__否。後に続けられた歓迎の言葉に付随した内容に、その可能性も潰えて。この状況、普通の人間であれば取り乱すのが常なのだが、彼は普通とは少し違うらしい。しかし誰に対しても礼節を弁える怪物らしからぬ怪物は、丁寧に一言添えた後に一歩踏み出し。鉄や僅かな硝煙の香りにも特に難色や恐怖を示すことも無く、扉を閉めた後手近にあった木製の椅子に腰かけ「私はミリアム、貴方のお名前は?」いざ新入りに説明をするとなると、何処から話して良いか迷うものだ。どう伝えてもその内容が身勝手で暴力的で残酷なものである事に変わりはなく、ならば正直にありのままを伝えるしかない。「此処は黒薔薇のお屋敷__貴方が居た世界とは少し違う場所なの。住んでいるのは、私の様な怪物達。でも、皆が皆こうして貴方に害意を向けない訳じゃないわ。だから、今後一人でこの部屋を出る事はお勧めできないの」充分荒唐無稽な現実を突きつけてもなお、貴方が何故攫われたのか、まだその理由を告げなければならない。怪物の中でも異端、そんな倫理観を持っている盲目の怪物は、少し俯いて「__ごめんなさい」薄く唇を開き、か細い声で呟いて)
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