執事長 2019-05-03 19:58:05 |
通報 |
>ニコル
―ふふ、良いにおい(首筋からうなじ辺りへ、鼻先を使って擽るように顔を埋める。上品で甘い様な香りと、微かな汗の匂いが有無を言わさず食欲を増進させ、うっとりと目を細める。耳に届いた言葉は被捕食者の諦念と受け取ろう、聡明な貴女が何を考えているか等この獣に解る筈も無いのだから。無意識の内に、ゆっくりと翼を広げる。その動作だけで、ふわりふわりと柔らかな羽根が舞い、シーツにくすんだ色を落としてゆく。「あなたのぜんぶ、うーが大事に食べてあげるからね」冷たい頬を、貴女の滑らかなそれに摺り寄せる。それはまるで、獣が捕らえた獲物を愛しく甚振る様。視線を合わせるべく顔を引けば、そこには存外穏やかな表情。泣き喚き拒否を示す獲物が大半なのに、珍しい。だからこそ「とぉってもいー子ね、えらいえらい」貴女がどんな想いで、血の滲むような努力を重ねて来たかなど知る由もない。けれど、貴女の強く美しい生き様の全てを肯定し、今まさに報われたのだと告げるような。労わりの意など皆無だけれど、それでも堕つる天使の口から告げられた、賛辞の言葉だけは本物で。言い終われば、ゆっくりと唇を重ねよう。柔く啄むようなそれは、やがて激しく、まさに獲物を貪るが如く。貴女の両腕を抑える手にも次第に握力が加わり、乗算されるかのような力は骨を軋ませへし折りかねない程で)
トピック検索 |