執事長 2019-05-03 19:58:05 |
通報 |
>リアンナ
――リアンナ…。(背後から訴えかけられる言葉や語調は、切羽詰まったと表現しても差し支えないほどの力を宿していて。拒否を体現するかのように背を向けていたが、貴女がどんな表情を浮かべているのか気になって此方も振り返る。かち合った真っ直ぐな視線に、半ば無意識に貴女の名前が口をついて零れ落ち。「…アタシを困らせないで頂戴。あんたと二度と会えなくなるなんて、あんたから、声と命を奪うなんて――…死んだ方がマシよ」他の人間を喰らうのが嫌だ、その言葉は些か予想外。人間は命を落とすことを極端に恐れる生き物だと理解していたために、それが独占欲の表れであると気付くのには少々時間を要した。けれど手放しに喜べるほど単純ではなく、溜められた言葉の物騒な続きを言わせない為に、自身の冷たい人差し指を貴女の唇にそっと押し当て、ゆるゆるとかぶりを振って「心配させたことは謝るわ。でもアタシは大丈夫、怪物は人間より遥かに丈夫よ。…ホラ、送ってあげるから来なさい」優しくふわりと微笑み、貴女の髪をそっと撫でる。安心させるために、至極穏やかな声音で諭すように説得を並べ、滑らかな頬を指先で撫でればそのままその手を差し伸べて)
トピック検索 |