執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レベッカ
――驚いた。あの子にそんな優しい一面があったなんて…。元から持っていたものをあなたが引き出したのかしら、それとも新しく芽生えたものなのかしら。どちらにせよ凄いことよ、少し羨ましいくらい(ほんのりと柔らかく暖かい色が部屋に満ちていくような、そんな貴女の声音と雰囲気に此方の心までも綻ぶようで。貴女の言葉を全て静聴し終えた後、思わず口を突いたのは心からの至極素直な感想。元々彼は粗暴だったり暴虐なわけではないものの、思い遣りやデリカシーを欠く振る舞いが目立つのも事実。ゆえに考え込むように顎に手を添えぶつぶつと考察を並べるも、貴女と会話中であると思い至れば顔を上げ、同胞の自身でさえも知らない彼の一面に貴女が触れていることに賛辞を贈って。「そう、あの子のお気に入りの場所に連れて行って貰えたのね。あそこの薔薇はとても綺麗でしょ、瑞々しくて色とりどりで」次いで彼の片割れの名も挙がれば、耐性が付いたのか驚くリアクションは取らず。それでも彼らが比較的血の気の多い怪物であることに変わりはなく、ゆえに内心で貴女の身を案じはらはらしてしまうほど。薔薇園と言えば真っ先に目を引くのはあの黒い薔薇だろう、屋敷の血腥い秘密を内包したそれに話題が向いてしまうのは憚られ、それとなしに黒色以外の薔薇へと話を向けて。「……各々の表現の違いね。例えばアッシュはラザロの事をとても気に入ってて、四六時中彼に話しかけたり後ろを付いて回ったりしてる。私はジェイドやギンハと仲が良くて、それはきっとお互いに興味や共通点があって、よくお喋りしたりするからだと思う。私達はあなた達と比べて淡白だけれど、相手に好意や関心を抱かないってわけじゃあないの」何かを求めるような声音と、見えずとも伝わる真剣な眼差しを感じ取れば、少々回答に詰まる問いをじっくりと考える。髪を弄っていた手を膝の上で揃えればゆっくりと開口し、貴女がまだ見ぬゾンビやドラゴンの事例を引き合いに出して。続いて自分の例も挙げれば、それに紐づいて明らかになる怪物の情緒特性を言葉に紡ぎ、"ごめんなさい、上手く答えられなくて"と自嘲気味に微笑んで)
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