執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ルシアン
お揃い?……~っ、気が向いたらねっ(人間は只の獲物、どこまでもその概念を揺らがせる子だ。同胞同士でだってお揃いのものなんて身に着けないのに、本来恐れ憎まれて然るべきの相手から、こうも友好的な誘いを受けては思わず目をぱちくり。次いで理解が追い付き、意志と関係なく綻びそうになる表情筋を隠すようにそっぽを向くも、コントロール出来ない尻尾はぶんぶんと激しく揺れていて。「え、何々?」よっぽどのお気に入りなのだろう、蝶ネクタイに話題が移れば貴方の表情に輝きが増す。それを微笑ましく横目で盗み見ていれば、引っ張られるがままに顔を寄せ「マジ?兄貴が?!―っあぁ、それで見覚えがあったのかあ」零れそうなほど目を瞠り、思わずあんぐりと開いた口元を空いている手で隠すように覆って。まめにプレゼントを贈る様なキザな男ではない筈の人狼が、まさか洒落た物を人間に贈るとは。それも自分の瞳の色が意匠と来れば、隅に置けないなとばかりににんまりと。否、余計な下心が無いからこそ、きっと貴方にこれを贈ったのだろう。にしても彼に贈り物をしたいと思わせる貴方の、朗らかな魅力に感心するように吐息すれば「ホントにあんたって特別な子ね。今までどんな奴に会ってきたの、意地悪な奴とかいなかった?」不意に浮かんだのは、貴方がこれまで誰にも食べられなくて良かった、という血生臭い安堵。出会った怪物の運が良かったのか、それとも従兄と自身以外の怪物を知らないのか、素朴な疑問をぶつけて。「ったくもー。はン、あんたみたいなお子ちゃまがあたしに勝てるわけないでしょっ。もしルシアンが勝ったら、あたしもあんたを描いたげる」告げられた事実の清々しさと愛嬌には、いよいよ笑って許すしかない。ふと投げかけられた勝負、負けず嫌いの血が騒ぐのか、威張るように胸を張っては言外に快諾を示す。勝負事には何かを賭けなければ燃えない、そんなマイペースさからどう転んでも微笑ましいベットを提示して)
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