執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レベッカ
――っ、……。……ワカッタ。オレ、レベッカの近くにイル。ソレでレベッカが、笑うナラ(今まで暢気でお気楽に構えていた心、その容量から溢れ出てしまうほどの感情が濁流の様に胸を締め付けて。こうして何度も顔を合わせて、思い出を重ねてきた貴女を、空腹に任せて頭から貪っても恨まれないなんて。今まで、人間は獲物でありただの捕食対象としか思っていなかったゆえに、食事時の断末魔でいくら呪いを叫ばれようが一切意に介さなかった。恨まれたって屁でもない、しかしその相手が貴女となれば話は別。向日葵の様な笑顔ではなく、どす黒い怨嗟が渦巻く鋭い表情で見詰められたなら―そう想像すれば露骨に表情が歪む。"有難う"と口を突いて出そうになった言葉も、寸での所でそれは可笑しいと飲み込み、口を噤んで。数秒間の沈黙、後にこくんとゆっくり頷く。貴女がそう望むなら、自身が傍にいることでいつものように笑ってくれるなら。依然として貴女を食べない保証はないけれど、その笑顔が見られなくなるのは嫌だ、と。通常の茫洋とした雰囲気ではなく、真摯に真っ直ぐな双眸で貴女を見詰めよう。「…?寂しくナイ、もう十分。宝物、一つでイイ」ギギ、と浅く首を傾げた後にゆるゆるとかぶりを振る。自身の顔の前へ腕を掲げ、改めてミサンガをじっと眺める。宝物は、唯一であるからこそ尊く光り輝く。無論、心から宝物と呼べるものは多いに越したことはないのかもしれない。だが、多くの物を等しく愛でることなど出来ない不器用な怪物は、ミサンガを大切に覆い隠すかのように片手を添えて。「綺麗、カモ。ケド、ちょっと臭イ」暗い場所では分からなかったが、月光の下ではさらに淡い輝きを放つ薬草をじっと眺め、同意を示すように頷く。それが巻かれた貴女の手首へ顔を寄せれば、獣よろしくすんすんと匂いを嗅いで。ツンとした刺激臭が鼻腔に刺されば、反射的に顔を引き、片方の眉を歪めてみせて)
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