執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ヴァレリオ
(花を目の前にした反響は予想よりも大きく、ゆえにきょとんと瞬きをすればすぐに吐息だけの笑いを零して「難しく考え過ぎだよ、こんなの簡単だもん」あくまで怪物目線の言葉を返しつつ、花の香りを楽しむ貴方の表情をじっと観察する。白がとてもよく似合う人だ、反射的にそう思えば優しげに和らいだ相貌へそっと手を伸ばす。花の蜜に誘われる蝶よろしく、暖かい頬を指先でなぞれば伝わる体温に食欲が誘発される。怪物の獰猛な空腹感の前では、貴方の人柄をよく表す特技も夏炉冬扇。髪を彩る可憐な花飾りを横目で眺め、思わず短い溜息を吐いて「そう、どれもこれも素敵な特技ね。でもね、それじゃあ満たされないの」肩を竦めては困ったように眉尻を下げる。自身が貴方と同類の人間であったならば、低く艶のある声で紡がれる歌や、骨張った指先から生み出される繊細な髪飾りに心を奪われていたかもしれない。だが違う。自身は怪物で、人間である貴方に求めるものはたった一つ。一歩、貴方へ距離を詰めては縋るように両手で法衣を掴んで「エリはね、あなたを食べたいの。あなたじゃなきゃダメなの」先程までの、どこか弾むような無邪気な雰囲気は失せる。寂莫とした願いを寄せる声音は、まるで何かに焦がれる乙女の様な色めきを含んで。すり、と服へ頬擦りした後、ぴったりと貴方へ密着して下から覗き込むように見上げれば「どうしてあなたを食べちゃダメなの?」潤んだ瞳は仔犬を彷彿とさせる。唇を微かに震わせ、行かないで、避けないでと貴方の服を握る手に、きゅう、と淡い力を込めて)
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