執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レベッカ
……トモダチは、トモダチ食べナイ。なら、オレとレベッカ、なれナイヨ(言われてみれば、と記憶を探る。鮮明な形では思い出せなかったものの、人間と友達の話をしたのなんて、自身の記憶が狂っていなければ貴女とが初めてで。だからこそ印象的だったその内容に含まれていた事、それを副次的に思い出しつつぽつりと呟くように目を伏せながら言葉に乗せる。ふと視線を上げれば、そこには貴女の柔らかな笑顔。それを見ると獰猛で見境のない食欲が、僅かに鳴りを潜めるのは事実。然し、貴女を食べない保証がないこともまた事実で、そんなの心底嫌だと饒舌に語るほど悲し気に眉尻を歪めて。「ン!それ、コレ!オレの宝物、コレダ!」宝物、と表現されれば、顎を仰け反らせて疑問を示すも、その丁寧な説明にはピンと来る所があったらしく。がばっと勢い良く顎を引けば、自身の手首を同じような勢いで貴女へ差し出す。何かに急かされるような手つきで外套の袖を捲れば、そこには貴女が編んでくれたミサンガ。少しでも力を込めれば千切れてしまうし、他の怪物に説明したところでそれがどうした、と言われてしまうだろう。けれど関係ない、自分にとっては大切な物だ。すっきり理解が出来た、とばかりにいつもより目を輝かせて。「ン、ソレ前も聞イタ。オレ覚えてた、偉イ?」互いの笑顔が好き、この応酬は身に覚えがある。記憶に誘発されるようにぴょん、と少しだけ肩を揺らせば、記憶を辿ることが出来た珍しい現象に子供じみた問を。ふと赤くなった貴女の頬、暑いのだろうかなんて邪推を回せば、自身の冷たい掌を伸ばし、拒否されなければべったりと挟み込むように触れてしまおう。それが本当にクールダウンになるかどうかは置いておくとして。「イヤ、じゃナイ。自分デモ、分かんナイ」ゆるゆるとかぶりを振って、不快ではなかったと伝えよう。この反応の正体はさっぱり分からないが、それを追究するのはまたの機会に回そう、何故なら貴女の痛々しい手首が目に移ってしまったから。のっそり立ち上がれば、立付けの悪いキャビネットの引き出しをゴリゴリと強引に開ける。此処でもない、此処でもないと数回繰り返し、漸く見つけた何かを掌に握り込んで貴女の隣へ帰還して「…手、見セテ」拳の中へ閉じ込めたままの物体が何なのか、それを貴女に見せることはしないままじっと瞳を見つめて)
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