執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レベッカ
ン…今は、お腹減ってナイ、ケド(左右へ傾けていた頭を正しい位置へ戻し、頷きかけて視線を彷徨わせる。言い包められそうになっていたが、貴女を獲物や食事として認識していないわけではない、という本能が寸での所で顔を覗かせ。言い澱んだ次の言葉は、長く深い吐息に溶けてしまったようで。見詰められた瞳と視線を合わせるも、どこか頼りなさげに金色はくすんで。「オレ、食べ物ダイスキ。ケドそれ、恋じゃナイ。合っテル?」この大食な怪物の世界では、あくまで最優先される概念は食糧らしい。何でも一旦食事に置き換えて考える無意識の癖でもあるのか、自分なりに理解を進めようと努力しつつ、どこか沈むように下がった貴女の眉尻へ手を伸ばし、ちょん、と指先で触れて。「レベッカ、笑顔がイイ。オレ、そのレベッカ一番スキ」ふと脳裏に去来したのは、花の蕾の前にうずくまり、今か今かとその時を待ち続けた果てに、漸く大輪の花開く瞬間を見た時の感情。眉へ触れた指先を、笑みの形に吊り上がった貴女の頬へそっと滑らせれば、今度はマフラーに隠れていない口元が緩い弧を描いて。「違ウ。ココ、隠さなきゃダメ。」ゆるり否定をすれば、此方へ伸びてくる手をぼんやりと眺めて拒否することはせず。首の継ぎ接ぎには何やら重大な意味があるらしく、かと言って自分でもその理由を覚えていない怪物の記憶力には呆れざるを得ない。けれど、海馬は駄目でも脊髄は覚えていたのか、貴女の手が触れた途端に肩がぴくりと震え、目にも留まらぬ速さで貴女の左の手首をがしりと掴んで。「――…?…ゴメン、」無意識の反射ゆえに、手加減が出来ず少し強めの力で握ってしまったかもしれない。この反応は何なのか、自分でも解らず怪訝そうに眉を寄せるも、すぐにぱっと手を開いては貴女の手首を解放して)
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