執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>テオ
(自分にとっては軽口の類。だが相手にとってはそうでは無かったのか、存外負けず嫌いな一面も隠されていたのか。金の瞳が迫ってきたかと思えば、臀部に感じる寒さ。片手を宛がわれたのだと気付いた時にはヒョイと掬うように持ち上げられていて。ベットよりは柔らかい気はするが、皮膚の分厚く硬い相手の掌。見上げればシミさえ目視出来そうな程距離の縮まった天井。視線を落とせば滅多にお目にかかれない、見下ろした形で拝見出来た柔らかな紺色の中に渦巻く旋毛。両手足や背中を支える物は何も無く、重心が後ろに傾けば頭から真っ逆さまに落ちてしまいそうな、心もとない不安定さにパチパチと何度も瞬きを繰り返し。「え、……え?うわっ!」事態を理解したならば口から漏れ出すのは、色気の無いすっとんきょんな悲鳴のような驚きの声で。普段通り過ぎる相手の率直な物言いに、通常なら軽く流せるものの、ダイレクトに相手には伝わっているのであろう状況も合わさり、頬は熱を帯びみるみる林檎のように真っ赤に染め上げ「お尻って……っ、テ、テオのばか!変態!すごいのは分かったから、早く下ろしてよ!」感情の赴くまま体をバタバタ動かせば危険が伴う為、口のみ動かし紡ぐのは、幼稚な子供のような非難の言葉。地に足付いた感触が早くも恋しいと、一点のみで保たれた浮遊感から抜け出したいと下ろしてくれるよう呼びかけ。そんな状態で質問を問われれば、やや考える間を置きつつ律儀に返答し「うん。ああお気に入りの場所って話してたもんね。え?えーっと……うん、好きかな。綺麗だしさ。テオは?」彼女が好きな場所を紹介してくれた思いも、室内ばかりで鬱蒼としていた気分が、外の新鮮な空気と月光に照らされた神秘的な光景で癒されたのもまた事実であり。裏に隠された真実にはやはり複雑な思いがあるものの、美しいと感じた素直な気持ちを言葉に表わしては肯定し。怪我についてはうっかり口を滑らさない限りは隠し通そうと、彼女についてから相手に意識を戻すように同じ質問を投げ返し)
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