執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ルシアン
やめときなって、あんたは身体がちっちゃいから虐められちゃう(まさか、怪物になりたいと心から願う人間がこの世に、否この屋敷に居たなんて。内心面食らってしまうと同時に、貴方にその願いを抱かせたジェイドと貴方の間にある、絆の深さを思い知らされたようで。どう足掻いても叶わない祈りだなんてことは、いくら幼くても聡明な貴方はきっと理解している。だからこそ、努めて明るい口調で軽口を叩き、非推奨を示すように顔の前でぶんぶんと手を振って見せて。「人狼は胎生よ、あんた達人間もそう…なんだっけ?」自身の尻尾へ示される興味には、その真っ直ぐな視線から気付いていた。人間から見れば異形であるだろうに、宝物でも見るかのような視線を注がれれば何だか照れ臭く、尻尾の先端が小刻みに揺れた。これらの特徴は遺伝であることを示すように、耳をぴこぴこと動かして。ふと手渡された画集を受け取りページを捲れば、そこには自身では到底真似できない色彩が連なり、思わず感嘆の声が零れて「ほんっとヤバい、あんた天才じゃない?あたしの似顔絵も加えといてよ、とびきり可愛く描いてよね!」絵画に造詣の深くない自分でも、思わず一つ一つの絵をまじまじ眺めてしまう。自分にない能力を持っている貴方に心からのリスペクトを興奮気味な声音で伝えつつ、ちゃっかりおねだりをすればにんまりと。「ああ、人間界のお菓子?そういや兄貴が何か調べてたわ、あんたにあげる為だったのね」甘やかな横文字は自身の辞書に載っていないものの、その後に続いた文脈から察しを付ける。以前ジェイドに人間の子供が好むお菓子は何か、相談を受けた記憶が引っ張られるように懐古されて。自身の対応はと言えば、そんなの知るかと冷たいものだったが、こうして絵に描いてもらえるほど貴方が喜んでくれたのなら、もう少し真面目に取り合えば良かった、なんて感傷に浸って。「味の感覚が人間と同じかどうかは分かんないけど、甘いわよ。でも少し酸っぱくて、後味が爽やかなの。あー食べたくなってきちゃった、後で果樹園に採りに行こっかな」んー、と顎に指を添えて考える仕草を。口に広がる果汁に思わずうっとり目を細めてしまう、あの感覚を甘いというのならばきっと共通の感覚だろう。味も然ることながら何より大事な絶妙の歯応えを思い出せば、食欲が刺激されるのも無理はない。" あんたも来る? "なんて気軽に付け加えて。「あるわよ、ほんっとに偶にだけどね」嫌いなものの話をさらりと流してしまいたくなるのは悪癖だろうか、素っ気ない答えになってしまったが勿論悪気の類は皆無で。「きゃんきゃん鳴いて隅っこに隠れたりしてさあ、ホント見せてあげたかった。今度さりげなく兄貴の前で掃除機使ってみれば?そんでその反応こっそり教えてよ」他愛ない思い出話の一つにも、その場に居合わせられなかったことに肩を落として心から惜しむ姿は、可哀想なのだけれどどこか微笑ましくて。励ますように肩をぽんぽんと叩き、その思い出を再現する悪戯を提示して。流石に泣き喚いたりはしないだろうが、どんな風に強がるのか従妹としても興味がある。悪戯っ子の作戦会議よろしく、声を潜めてはくふふと笑って)
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