執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レジーナ
(窓側に置かれた机の上、何も描かれていない白いキャンパスが隅の方に追いやられている。思案するように机に頬杖をつき、屋敷を覆う常世の闇を眺める。時折暇を持て余したように幼げな指先がざらついたキャンパスの上を滑るも、それ以外にアクションを起こすことはない。何かしたい気持ちばかりが先走るも具体的な行動計画には結びつかず、結局のところ彼という存在をあまり理解していない自分に直面しては胸にある種の寂しさが去来していた。「…僕はジェイドから貰ってばかりだ」溜息と共に吐き出された本音は途方も無い虚しさを秘め、ガクリと頭を垂れた。そんな折、軽快なノック音とともに齎されたのは己にとってはまさに吉報。ジェイドの従妹、と可憐な声が発する。魔法の言葉に警戒心など最初からわかない、パタパタと慌ただしい足音を立て、飛びつく様に扉を開けた。「やあ!初めまして。君、ジェイドの従妹さん?僕のことはジェイドから聞いたの?」弾む声音は嬉しさを前面に滲ませ、訪室を歓迎する。健康的で生命力に満ちた姿、外ハネのボブも明るい夕焼けのような瞳の色も、彼女を快活に魅せる。更に目を惹くのは彼と同じ立派な尻尾。愛おしくもあり、ちょっぴり羨望の眼差しを向けてしまうのは無理もない。大きく扉を開き室内へ案内するよう体は脇に避け、彼女が通れるスペースを作る。「さあ、入って入って!今日は時間あるの?ジェイドのことや君のこと、良ければ教えてほしいなぁ!」丸い頬を嬉しさに染め、怖じけることもなければ、親しい友人に頼みごとをするような気安さで誘いをかけ)
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