執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ラザロ
(あの衝撃的な日から彼の顔を見ていない。ぼんやりと一人、生活感のない小綺麗な部屋を眺めていた。ここに攫われてから外へは一歩も出ていないのでずっと部屋の中に籠りきりだった。籠りきりといってもドアは壊れて使い物にならないから今はドアがない状態だが、それでも逃げようとしないのはあの日が色濃く脳裏に焼き付いているからだろう。部屋の中の散策もものの数十分で終わってしまって途方もない退屈に感覚が麻痺してしまいそうだった。ちらりと外を見やるも彼が訪れる気配はない。まあ、当たり前だ。彼はあまりこちらと関わりたくなさそうだったから。少し、帰り際に名前を尋ねられただけで、それだけだ。期待はしていたのだったか、どうだったかわからないけれど、こうして何度も今は無き、ドアの向こう側に目線をやっているのだから期待は、していたのかもしれない。そうなんとなしにドアの向こうに目をやっていると爬虫類のようななにかが動いているのが視界の端に映った。その長い尾が彼を彷彿とさせて、なんとなしに立ち上がれば近付いてみるもそれでも逃げることなく頭部をこちらに向け、見返してくる様に思わずぱちくりと目を瞬かせ、爬虫類と見つめ合っている奇妙な状態にくすりと笑みを零せばふと気づく。「あれ、君、…ラザロの肩に乗っていたあのトカゲかい?」彼と初めて会ったとき、尾や翼にばかり気をとられていたが、確か肩にトカゲが乗っていたような気がする。そう尋ねればまるで肯定するかのように長い尾がゆらり、と揺れて。ああ、これは何とも。ゆるりと上がる口角は退屈を凌げる事柄を見つけたからか、それともこの屋敷について知ることができるからか。それとも…。一度ゆっくりと目を閉じた後、頼みがある、と切り出した。「君がラザロに準ずるものならば一つ、彼をここに連れてきてはくれないだろうか。」そう言葉尻を切ればそのトカゲはするりとどこかへと行ってしまった。それを後ろから見送ればゆったりとした足取りで部屋の中へと帰っていった。
暫くすると、どすどすと不機嫌さを隠しもしない足取りがドアがない部屋へとダイレクトに伝わる。その足取りはこの部屋の前で止まり、自分の名前を呼んだ。今度は落ち着いた仕草でベッドから立ち上がり、ドアへと向かう。見えてきた彼はやはりあの日と変わらず不機嫌そうだ。それでも律義に部屋の中へと入らず外で待っているさまに少し驚いて「本当に来てくれたんだな。」と間抜けな一言。次に目に入ったのは大きな工具箱で。ああ、と納得する。恐らく壊したドアを直せ。という意味で呼びつけたのだと思ったのだろう。それはそれで構わない。元から理由など考えていなかったのだから。ひっそり内心で笑みを零せば体を端に寄せ、どうぞ、と部屋の中へと勧めて。)
( / どうやって呼ぶか伝え忘れていて申し訳ありません…!機転を利かせていただきありがとうございました…!では、その体で行かせていただきますね!少しばかり強引な話の進め方になってしまいましたので、使い魔さんについて解釈違いなどありましたらなんでも仰ってくださいませ!ではラザロに猛烈アタックを仕掛けたいと思います…!少し長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします! )
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