執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>アリソン
可笑しいだろ、(我ながら笑ってしまうほど間抜けな字面だ、甘すぎる怪物だなんて。それでもそれが事実なのだ、この心は誰も変えることは出来ないし、自分でもとうに受容できている。ふと掌に重なった体温に僅かに目を瞠って貴女の顔を見る。自身の心を慮る様な瞳に思わず口許が緩めば「優しいのはお前も、だな。大丈夫、俺にはあいつらが居るさ」怪物の心を案じるなんて、中々出来ることでは無い。いくら自身が人間臭い怪物であったとしても、だ。だからこそ空いている手で貴女の髪をくしゃりと撫で、手を引っ込めては自身の胸板を軽く叩いて。同胞にも理解はされないが、それこそ吸血鬼の彼女の様に暖かく見守ってくれる仲間はいる。その分、孤独な貴女よりは抱え込んでしまうリスクは少ないと示して。「……一応、言っとくが。リーシュは喜ばない、と思うぞ」貴女の可憐な口から吐き出されたとは思えない、血生臭い案にぴくりと指先が震える。血を混ぜるということは自分を傷付けるということであり、吸血鬼が食事に抱くこだわりのことも勘案すれば、推奨は出来ないと真剣な表情で首を左右に振って。「使い魔は魔法が使えるから、気にする事ないぞ。だが、お前が自分で作りたい、って言うならその方がいいかもな」文明の利器の何百倍も便利なスキルを使いこなす彼らにとって、お菓子の一つや二つ焼き上げることは造作も無い、だから申し訳ないなんて思う必要は無いと告げておこう。けれど利便性よりもっとずっと大切なのは、貴女自身の意思。だからこそ、自分で焼くという意思表示にこくんと頷けば微笑みを浮かべて「見ての通り山ほどあるが、黒いのは折っちゃ駄目なんだ。他の薔薇はどうだったかな…、庭園へ探しに行かないと駄目だな。お前があげたいフレーバーは無いのか?」窓の外へ視線を遣りつつ、夥しい数で咲き誇る黒薔薇を指し示す。けれどそれを手折ることはこの屋敷では許されない、無論貴女がその理由を知る筈もなく、ジェイド自身も血生臭いストーリーを語る気は無く。自然は好きでも花を愛でる趣味は無く、人間界の花である普通の薔薇に見覚えがあったかどうか。ふむ、と考えを深めつつ貴女のアイデアも聴いてみようと)
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