執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>アリソン
(温もりが欲しくて足掻いてしまう者、その姿を見れば構わずにはいられない者――単なる需要と供給、なんてドライに片付けてしまえればどんなに楽だっただろう。けれどそれが出来ない異端の怪物は、目を伏せてしまった貴女に只々物言わぬ視線を送ることしか出来ず。やがて真っ直ぐに視線がかち合えば「ハハ、よく言われるよ。リーシュ曰く、怪物でいるには甘すぎるってさ」最早笑い飛ばすことしか出来ず、零れた笑い声は意図せぬうちに乾いていて。自身と吸血鬼には通ずるものがあるが、彼女には理性的に突き放せる強さがある。が、自分は助けを求める者を無尽蔵に甘やかしてしまうのだ。それが悲劇を生むと分かっていても、目の前で泣く誰かを無視することは出来なくて「でもそれが俺なんだ、仕方ないよな。こんな話滅多にしないよ、知ったからには俺に甘えすぎちゃ駄目だぞ」そんな甲斐性を自分自身で受け入れることは出来るが、誇りに思うことは出来ない。だからこそ諦観を含む声音でお道化るように冗談とも本気ともつかない忠告を。「偉いな、アリソンは。たると、まどれーぬ……人間界のお菓子か、良いじゃないか。けど俺達怪物は、人の食べるものでは腹は膨れねえし、味も分からない。あいつのことだ、その気持ちだけで充分喜ぶと思うが、これだけは一応伝えとくな」耳に馴染みのない横文字に首を捻る事数秒、文脈から推察するにそれは人間の口にしか合わない菓子の名前なのだろう。けれど、この不自由な屋敷の中で頑張って手土産を用意した、という事実が吸血鬼にとっては喜ばしいことになるだろう。ふむ、と口許に手を添えて思案するポーズを取りつつ「レシピが分かるなら、俺の使い魔に材料を集めさせて、今度一緒にキッチンに行こう。それか、使い魔に作らせて持ってきてもらうことも出来る」貴女がお茶菓子を手作りするか否か、それによっても協力の方法が変わってくる。しかしそのどちらでも対応は可能であることを告げつつ「紅茶には疎いんだ、済まん。けど、薔薇のフレーバーティーがあるなら、きっとあいつも気に入ると思うぞ」紅茶を嗜むなんて高尚な趣味は無い、いかにも肉体派と言わんばかりの筋肉質な腕を組みつつ苦笑を。知識は無いがアイデアを出すことくらいは出来る、ふとあの吸血鬼が黒薔薇を愛でている光景を目にしたことがあると思い起こせば、人差し指を立てつつ提案を)
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