執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>ジェイドさん
そっか、良かった。( 肯定されることは望んでいなかったとはいえ、否定されることは嫌だと思っていたからか安堵の息をつき。やはり彼は吸血鬼の彼女に似ている。優しさにこくりと頷きながらも、忠告ともとれる言葉にはふっと目を伏せて。わかっている。怪物は百年以上余裕で生きるだろう。でも、人間は本当に長くても百年が限度。健康に生きる、と考えればもっと短い。それなら、この屋敷から出られることがないのなら早いうちに捕食されて怪物の血肉となるのも良いのかもしれない。そんな風に思うようにさえなってきた。深い関係になったらきっと辛いだけ。行き場のない気持ちがどれだけ苦しいものなのかは、この数年で充分思い知ったから。「わ
かってる。深入りはしないよ。きっとね」ゆるりと微笑む姿に寂しさなどは読み取ることはできないだろう。ただ、感情の読み取ることのできぬ笑みを浮かべながら、他に聞かれることを静かに拒み。「されたっていうか、あんまり仲良くできないなって。多分合わないと思うから、悪魔さんには会いたくない」詳しく話すのは憚られ、緩く首を振ってはぽつりと簡潔に告げようか。彼に話したとて悪魔が改心するとは到底思えない。「え、ジェイドさんは謝る必要なんてないよ」彼に謝罪の言葉を告げられれば驚いたように目を丸くして。己が苦手だと思ったのは悪魔の彼であって目の前の彼ではない。顔の前で手を振って謝らないでほしいと態度に示そう。自分がしたわけでもないのに悲しげにしゅんとする彼を目に映すと心が痛む。なぜ彼がこんなに寂しそうに、辛そうな表情を浮かべなければならないのだろう。否、その必要は微塵もない。心痛に目を細めれば自然と手は彼の頭へと伸びて。拒否されなかったのならそのまま撫でるだろう。「有り難う、ジェイドさん」この優しい怪物は誰にでもこうして優しく気遣っているのだろう。だとしたら彼は疲れているのではないか____。どうしたら疲れを癒せるのだろう、ということに考えは及んで。怪物が喜ぶことはやはり捕食しかないのか、他に何か喜んでもらえる術はないのか。屋敷に来てから変化しつつある思考に我ながら笑ってしまう。以前は周りへの興味なんて全然なかったのだ。様々な怪物に思考を占領されつつあるんだなぁ、と苦笑いを。「ううん、大丈夫。有り難うジェイドさん。楽しかった。他の怪物とも話してみたいし、でもまたこうやってゆっくり話したい。マリーシュカさんともお茶会しよって話したし……あ、そういえばマリーシュカさんが好きなものってどうやって用意したら良いんだろう」以前より考えていたことをそのまま口に出してしまうくらいには頭が足りておらず、うーんと首を捻る様子からは彼を引き止めてしまっているという自覚はないようで。"どう思う?"と意見を求めるよう視線を向けたところでようやく気付けば、"ごめんね、忘れて"と眉を下げて )
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