執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>アリソン
人間らしいな、と思うよ。それにきっと、それがお前らしさなんだろ?なら恥じることも恐れることもないさ(基本的に他者との繋がりにおいてドライな考え方を持つ怪物サイドから見れば、周囲に変だと思われたくない、嫌われたくないという思考回路が人間らしさをより際立たせるもので。元々群れる生き物である人間だからこその発想だろう、けれどそれには個人差がある――貴女はきっとそれが顕著なのだろう。であればそれも個性、と括りつつ「只、仲良くなり過ぎるのは少し寂しいかもな」寂し気な視線を受け止めつつ、此方も少し物憂げに眉尻を下げて。口許に微かに漂う微笑みが、その寂莫感を助長する。もしも万が一怪物と人間が深い関係になろうものなら、その先に待っているのは仄暗い別れ。長命の怪物と短命の人間、若しくは相手が他の怪物に食べられてしまったら―。この屋敷で怪物と仲良くなるということは、その延長線上にある深い闇へ足を突っ込むことを意味する。それを暗に示唆すべく、忠告ともつかないやんわりとした言葉を贈ろう。「悪魔?何か嫌な事されたのか?」貴女が吸血鬼と自身以外にも怪物に遭遇していたことを初めて知る。貴女の苦々しい表情を見れば、瞼の裏で悪魔たちの高笑いが聞こえる様だ。やれやれ、と肩を竦めれば「誰だか知らないけどよ、そいつに代わって俺が謝る。あいつらは楽しければついやり過ぎるんだ、悪い奴じゃないんだが――ご免な、アリソン」犯人捜しは不毛だろう、どうせ言っても聞かない連中だ。愉快犯、まさにそんな言葉が似合う悪魔の哄笑を頭から追い払えばぺたんと耳が垂れて。尻尾も力なくしゅんと項垂れ、貴女に不快な思いをさせたことを誠心誠意謝ろう。「ん、なら良かった。何かあったら我慢せずに言えよ、出来る限り協力する」嘘を言ったり空元気を回しているようには見えない、安心した様に目許を細めて。体調以外にも何か困り事や要求があれば、手が空いている時は力を貸す旨を伝えて。遠慮がちに告げられたお願い事は、怪物たる自身にとっては造作も無いこと。むしろ自身と一緒にいる今は探検の絶好のチャンスで「外か、そういえば来たばかりだもんな。勿論いいよ、今から――…」行こうか、と言いかけて停止したのは、ちらりと工具箱が目に入ったから。元の予定を変更して貴女の部屋を訪れたと言う事を、ついつい楽しくて忘れてしまっていた。そんなそそっかしさに自嘲気味な笑みを浮かべては後頭部をかりかりと掻きつつ「悪い、やらなきゃいけねえことがあったんだった。今度手が空いたら迎えに来ようか、それともそれまで待てなければ他の怪物に声掛けとくよ」そっと椅子から立ち上がりつつ、空になったカップを持ち上げて。次貴女に会えるのはいつか分からない、そもそも貴女が再会を望むかどうかも分からないからこそ、二つの案を挙げつつ貴女の選択を待とう。他の怪物、とは恐らくジェイドが信頼する怪物か、或いはあの吸血鬼を指しているのだろう)
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