執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>レベッカ
……ン。レベッカは、元気少ナイ?(記憶が正しければ、この屋敷でその挨拶を贈ってくれるのは貴女只一人だけ。まるで自身の不器用なノックの様に特徴的なそれが、今自分が相対しているのがまさに貴女だと実感させてくれる。けれど、いつものような軽快さが挨拶の言葉に欠けているような気がして。いくら他人の変化に疎くともその変化には気付いたようで、ぎぎぎ、と小刻みな段階を踏みつつ首を傾げて。「約束、よりも。オレ、会いたいと思ッタ。ダカラ来タ」約束そのものを忘れていたわけではないし、軽んじていたわけでもない。けれど、もし使い魔が気を利かせてバスケットを用意してくれていなければ、きっと手ぶらで貴女の元を訪れていただろう。約束を守りに来た、その言葉に対して否定はしないまま、それ以上の動機があったことをはっきりと伝えて。―嗚呼それだ、その綻んだ表情を見ると、腹の奥でやかましく存在を主張する虫が大人しくなるのだ。何度体感しても慣れないからこそ不思議そうにぼんやりしつつ促されるままに部屋に入ろうと。頭を屈めないまま一歩踏み出そうとすれば、最高のタイミングの忠告にぴたりと動きを止め「…忘れテタ」ひょい、と頭を屈めて部屋へと立ち入ろう。約束を覚えていたのに、人間用の部屋はドアの規格が小さいことはすっかり記憶から抜け落ちていたようで)
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