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他我  2019-04-19 23:11:09 
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日記も小説もssも、全部。

今日 今
画面って結構眩しいんだね。
このやる気の出ない自分を何とかしたいけどどうやっったらいいか分からん。ま、何とかなるさ。…多分。

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  • No.61 by 俺  2020-03-03 18:18:38 

 昔々あるところに、元剣術道場四代目師範のお爺さんと、かつて「食材の魔術師」と呼ばれた元天才的料理人のお婆さんが、隠居生活をしていました。
 ある日、お爺さんは山へ芝刈りへ、お婆さんは川へ洗濯へ行きました。
 お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと流れて来ました。
 元料理人のお婆さんは、最初こそ驚きましたが、直ぐに料理人の血が騒ぎ出し、是非調理してみたいと桃を持ち帰りました。
 
 一方その頃お爺さん。お爺さんが芝を狩ろうと山に入ると、茂みの中からこの辺りの野犬を率いる歴戦のイヌと、周辺で「空のギャング」と恐れられたキジ。そしてこの山の主であるサルが、お爺さんの前に現れました。
 彼らと旧知の仲であるお爺さんがどうしたのかと聞くと、サルが言いました。
「最近、ここいらで鬼たちが悪事を働いていると聞く。俺たちの縄張りでいい顔されるのは俺たちも見過ごせん。鬼を倒すというのなら、俺たちにも協力させてくれ」
 確かに、お爺さん達の村は悪い鬼によって荒らされていました。金品を奪われ、若い娘を奪われて。しかし、鬼達に抗おうという者は現れません。何故なら、鬼の力は強大で、お爺さんが師範だった剣術道場の現師範ですら、鬼の力には敵わないのです。
 その事を告げると、サル達は「俺たちの力が必要になったら呼んでくれ」と言って残念そうに去って行きました。
 
 サル達に申し訳ない様な気持ちで芝刈りを終え、家に帰ったお爺さんが見たのは、台所に置かれている大きな大きな桃でした。
「お婆さん、これはどうしたんだい」
「ええ、実は川で洗濯をしている時に川上から流れて来たんですよ」
 お爺さんは驚きました。桃の大きさもそうですが、何より料理人であるお婆さんが、落ちていたも同然の物を拾って来たことに、非常に驚きました。
「お婆さんや、よもやこの桃を…」
 そこでお爺さんは、桃の中から感じられる微かな人の気付きました。
 恐る恐る桃を切ってみると、なんと桃の中から赤ん坊が出てきました。
「これは奇怪な。一体どういう事だい」
お爺さんとお婆さんは驚きました。
 この子供をどうしようか二人は悩みましたが、特殊な事情故に、他へやる事もできず。結局二人はその子供を桃から生まれた「桃太郎」と名付け、育てる事にしました。
 
 桃太郎は大きな怪我や病気も無く、すくすくと元気に育って行きます。一つ不思議なのは、桃太郎は普通の子供よりも腕っ節が異常に強く、歳上の子供を投げ飛ばした事もありました。
 それを見たお爺さんは「この子ならば、鬼どもを倒せるやも知れぬ」と、半年に一度やってくる鬼達に見つからぬ様に、桃太郎を鍛えました。
 
 そして桃太郎が十五になった日。桃太郎は、遂に言いました。
「お爺さん、これまでの稽古、本当にありがとうございました。私は鬼退治へ行って参ります」
 桃太郎の言葉にお爺さんは深く頷くと言いました。
「桃太郎よ、今のお前ならば鬼達とも対等に渡り合える事だろう。だが、お前一人で鬼を退治するのは不可能だ。イヌ、サル、キジ。この三匹をお供として連れて行け」
 続けてお婆さんが言います。
「鬼退治へ行くのなら、これを持ってお行き」
 そう言って差し出されたのは、お婆さん特製のきびだんごでした。
 お婆さんの長年培ってきた経験や技術を、全て詰め込んだ逸品でした。
「ひとつ食べれば百人力。ふたつ食べれば千人力。これを食べれば、自分の力を存分に発揮できるはずさ」
 お婆さんの説明を聞いた桃太郎は、きびだんごをしかと受け取りました。
 さあ行こうという時に、お爺さんが何も言わず、一振りの太刀を桃太郎に託しました。
 それは、お爺さんが若い頃に使っていた業物でした。
 桃太郎はそれを受け取ると、目尻に浮かんだ涙を隠し、一言告げて鬼退治へ出かけました。
「必ずや、鬼どもを退治して参ります」
 
 桃太郎はまず、お爺さんがかつて芝刈りに出かけた山へ向かいました。イヌ、サル、キジを仲間にするためです。山の中をずんずん進んでいくと、道にイヌが居ました。イヌは最初警戒していましたが、腰に下げた刀と、きびだんごを見て言いました。
「遂に鬼と渡り合える者が現れたか。貴様、名を何という」
「桃太郎と申します。お爺さんに稽古を付けてもらい、鬼退治へ向かう所です。貴方があのイヌ様ですね。どうか私に力をお貸しください」
 イヌは言いました。
「そうか。ならば、共について行くとしよう…
 が、その前に。腹が減ったから、そのきびだんごを一つくれぬか?」
 桃太郎はそれを了承し、イヌにきびだんごを渡しました。
 こうして桃太郎とイヌは、キジとサルを仲間にするため、山の中を更に進んでいきました。
 桃太郎とイヌは、樹齢五百年を越える木々が立ち並ぶ、山の神聖な場所へやって来ました。
 そこには、若い屈強なキジと、一羽の老いたキジが居ました。
「お主が桃太郎か。部下から話は聞いておるわい。」
 老いたキジがそう言いました。
「それは話が早くて助かります。一緒に鬼退治へ来ていただけますか?」
 桃太郎が明るい顔で言いますが、老いたキジは首を振りました。
「儂は老いすぎた。最早空も飛べぬ。」
 キジが仲間に加わることができないと知り、イヌと桃太郎は顔を見合わせますが、老いたキジは言いました。
「その代わりと言ってはなんだが、この若いのを寄こそう。」
 老いたキジが指したのは、隣にいた若く屈強なキジ。若いキジはお辞儀をすると、続けて言います。
「初めまして、桃太郎さん。ボスに代わりまして、あっしがお供させて頂きます。」
 それを聞いて桃太郎は心強く思い、イヌも若いキジを認めたのか深く頷きました。
 老いたキジが長生き出来るよう、きびだんごをいくつか渡して、若いキジを連れ、桃太郎とイヌは、サルを仲間にするべく、更に山の奥へと向かいます。
 山の最奥、普段は野生の動物も滅多に訪れたないような秘境の洞窟にサルは居ました。
 桃太郎が言います。
「私は桃太郎。お爺さんに稽古をつけて貰い、これから鬼退治へ行く所です。一緒について来て頂けますか?」
 険しい顔でサルは言います。
「ようやく現れた者が誰かと思えば、まだまだ若造ではないか。本当に鬼に対抗しうる力があるか、俺が確かめてやろう。」
 こうして桃太郎はサルに連れられ、森の中。一対一で力を試される事となりました。
「先手はそちらに譲ろう。さあ、掛かって来るがよい。」
 サルから先手を譲られ、桃太郎は動きました。
「はあぁぁぁっ!」
 威勢の良い声と共にサルに駆け寄り、刀を右から横薙ぎにしました。しかしその場にサルは居らず、辺りを見渡す桃太郎は、背後に気配を感じました。体を捻るようにして避け、振り向くと、丁度サルが拳を突き出しているところでした。
「ふむ、この程度は避けるか」
 サルは顎にてを当て少し考えると、突然姿を消しました。再び背後にまわられるのかと思った桃太郎は振り向きましたが、サルが居たのは先程と同じ方向。桃太郎は背中に打撃を受け、体制を崩してしまいそうになりますが、なんとか踏みとどまり、振り向きざまに刀を振ります。
 それをサルはいとも簡単に避けましたが、予想外の行動だったようで、目を見開いて居ました。
 桃太郎はそこで止まらず、更に一歩踏み込んで袈裟斬りに。その一太刀ははサルの体毛を短く切り取りました。
「思っていたよりもやるようだな。流石あのお爺さんが認めただけの事はある…」
 サルは何かを呟きながら考えると、再び姿を消しました。
 しかし、三度目ともなれば桃太郎も慣れ、右側に現れたサルをタイミング良く斬りつけます。
 しかし次の瞬間、桃太郎の刀が地面に叩きつけられました。何が起きたのかと見てみると、サルが刀を地面に押し付けていました。今回こそ対応出来たと思った桃太郎は、呆気を取られてしまいます。
 サルは刀から手を離すと、桃太郎に言いました。
「良い腕だ。これほどの腕があれば鬼退治も不可能ではなかろう。」
「本当ですか?」
 その言葉を聞いて、桃太郎は聞き返しました。喜びを隠しきれない桃太郎に、サルは言います。
「ああ、鬼退治に付いて行こう。その前にきびだんごを一つ貰おうか。腹が減った。」
 サルの頼みを快諾し、サルも一緒に鬼退治へ行く事となりました。
 イヌ、キジ、サルの三匹の仲間を連れ、桃太郎は遂に、鬼ヶ島へと舟を出しました。
 
 ざざん、ざざん、ざざーん。
 波の激しい、険しい航路でしたが、キジの空からの先導によりなんとか鬼ヶ島へとたどり着きました。桃太郎達が上陸したのは、島の裏手にある浜辺です。ここならば鬼の目もなく、安全に侵入出来ると考えました。しかし、その浜辺から鬼達を襲撃するには、目の前の断崖絶壁を登らなければなりません。この浜辺に鬼の監視が無いのも、「この断崖絶壁を踏破する事は出来まい」と考えての事でした。
 とはいえ、桃太郎とて考え無しに鬼ヶ島へ乗り込んだ訳ではありません。まず、キジに崖の上に鬼が居ないかを確認して貰うと、用意していたロープとイヌを足で掴み、崖の上へと飛び上がります。次にサルが器用に崖を駆け登り、犬と共にロープを使って桃太郎を引き上げます。こうして、桃太郎達一行は無事、鬼ヶ島への侵入を果たしました。
「ここからはいよいよ鬼供の住まう場所。我らの存在が悟られれば命は無いと思え。」
 崖の上でサルが注意しました。
 皆はそれに頷くと、桃太郎を先頭に気配を隠しながら鬼ヶ島の中を探索していきます。
 やる気のなさげな居眠りをする監視の鬼や余所見をしている鬼を見つける度に、静かに近づき、サルが気絶させました。気絶させた鬼は全て見つかりにくいであろう場所に隠しましたが、見つかるのも時間の問題です。桃太郎達は急ぎ、鬼の大将を探します。
 すると、桃太郎達は島の中央へと続く道を見つけます。桃太郎達は顔を見合わせ頷くと、その道を真っ直ぐに進みました。
 道は洞窟の中へと続きます。洞窟の天井には所々穴が空いており、そこから入る光が美しく辺りを照らしていました。
 不意に声が掛かります。
「貴様らか、島に入り込みコソコソしていたのは」
「誰だッ!」
 桃太郎が叫ぶと、洞窟の奥から大きな鬼が現れました。三メートルはあろうかと言う巨躯に、隆起した筋肉。額から二本の角を生やした黒鬼で、手に持つ金棒は桃太郎程の大きさがあります。
 現れた鬼の大きさに圧倒される桃太郎達でしたが、唯一平常心を保っていたサルが、鬼に言います。
「その通りだ。俺達はお前ら鬼を退治する為に来た。お前が鬼供の頭か?」
 それを聞くと、鬼は笑いながら言いました。
「いかにも。我が鬼を率いる大将だが…何を言い出すかと思えば、我らを退治するだと?冗談はやめておけ。」
 鬼の大将が笑うと、暗闇から赤鬼と青鬼が現れました。
 どちらも鬼の大将よりは小さいですが、それでも二メートルはあります。
「わざわざ我が貴様らの相手をする必要もあるまい」
 鬼の大将が再び暗闇へ消えると、赤鬼と青鬼が声を揃えて言います。
「「矮小なる人間風情に黒鬼様の御手を煩わせる訳には行かぬ。」」
 金棒で地面を突き、ガキン、と言う音を立てる鬼達を、鋭く睨みつけながら桃太郎が言います。
「我等の目標は鬼の殲滅。貴様ら程度に引けは取らん!行くぞ!」
 桃太郎の声と共に全員が飛びかかります。
 イヌとサルは赤鬼に、キジと桃太郎は青鬼に、それぞれ向かって行きます。イヌは鬼の脚に噛み付いて動きを封じ、その隙にサルは鋭い爪で鬼の腕を抉り、攻撃手段を減らそうと試みます。

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