Now saving... 2019-04-17 23:32:24 |
通報 |
この地域で有名なユクモ温泉のある村、それがユクモ村だ。この周辺では大きな村で、人の行き来も多い。そのユクモ村の前に、一人の旅人が立ち止まった。
「ガーグァに荷車を引かせれば一日足らずでも、人の足で来れば丸二日。こうしてみるとやっぱり遠いな」
これまで踏破して来た道のりを思い返し、自分のいた集落からの遠さを再確認する。
旅人の顔が赤いのは、前日の夜から歩き続けてきた疲労の為だけでは無いだろう。青年と呼ぶにはまだ早い、十七を過ぎた位の顔には、これからの生活に対する期待が満ち満ちていた。
「さあ、新しい門出だ。」
その言葉と共に気を引き締め、村の中へと踏み出す。村に入ってすぐの階段を登り切ると、見慣れた筈の光景が広がる。
立ち並ぶ露店と、活気に溢れた人々。過去何度も訪れた時と変わらない。強いて言うならば、以前よりも人が増えただろうか。そんな事を考えつつ、人の隙間を縫うようにして進むと、集会浴場の前に出る。
この集会浴場にはハンターズギルドも併設されており、村の中で最も人の集まる場所と言える。
しかし今の目的はそこでは無く、集会浴場へと続く階段の右手にある長椅子。そこに座る人物に声をかける。
トピック検索 |